2015 Fiscal Year Annual Research Report
犬と猫の糸球体腎症における病態機序の解明と新規診断・治療マーカーの探索
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25450446
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
矢吹 映 鹿児島大学, 農水産獣医学域獣医学系, 准教授 (10315400)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糸球体腎炎 / 蛋白漏出性腎症 / 犬 / 病態機序 / 免疫組織化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、伴侶動物(特に犬)の糸球体腎症の病態機序の解明を目的とした。平成27年度は、腎生検による病理学的解析、レクチン組織化学的解析、スリット膜関連分子および腎臓内グレリンの免疫組織化学的解析を行った。 1.腎生検による病理学的解析:新たに4例の犬について腎生検を実施した。そのうちの一頭は伴侶動物ではまれなアルポート症候群と診断された。また、残りの3頭は免疫複合体糸球体腎炎と診断された。免疫複合体糸球体腎炎と診断されたヨークシャー・テリアの一頭については、母犬および同腹子も同じ症状(蛋白漏出性腎症)を示しており、本犬種では報告のない家族性の糸球体腎炎と考えられた。 2.レクチン組織化学:前年度からの解析を継続して行った。免疫複合体糸球体腎炎における各種レクチンの結合パターンを解析し、臨床病理学的および臨床的特徴と比較した。その結果、レクチン結合パターンの変化は、糸球体の濾過機能や尿細管の再吸収能の異常に関連していると考えられた。一方、症例間で共通する結合パターンは認められず、免疫複合体糸球体腎炎で起きる腎組織の糖鎖修飾の変化は症例により異なっていると考えられた。 3.腎臓内グレリン:免疫複合体糸球体腎炎における腎臓内グレリンの発現変化を免疫組織化学的に解析した。その結果、免疫複合体糸球体腎炎では腎臓内グレリンの発現は顕著に減少しており、それは糸球体の濾過機能の低下と関連することが明らかになった。 4.スリット膜関連分子の解析:免疫複合体糸球体腎炎における3種の分子(ネフリン、ポドシンおよびACTN4)の変化を免疫組織化学的に解析した。その結果、すべてのスリット膜関連分子で発現の低下が認められた。しかしながら、その変化は症例によって異なっていた。現在、その発現パターンと組織障害、血液学的腎機能マーカー、蛋白尿および血圧とどのように関連しているのかを解析している。
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Research Products
(5 results)