2015 Fiscal Year Research-status Report
抗原タンパク表層ディスプレイ型大腸菌によるサルモネラ多価不活化経口ワクチンの開発
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25450449
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00305658)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹井 和美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 教授 (70211935)
古家 優 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (30500706)
松林 誠 大阪府立大学, 生命環境科学研究科(系), 准教授 (00321076)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | サルモネラ / 経口ワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までの実績から、粘膜アジュバントであるコレラトキシンのBサブユニット(CTB)とSalmonella Enteritidis(SE)のワクチン候補抗原であるfliCタンパク質を表層にディスプレイした不活化大腸菌は、ニワトリに経口あるいは点眼投与することによりSE鞭毛に対する免疫を誘導する可能性が示唆され、特に点眼投与において有意な効果が認められた。本研究年度は、経口投与において、より効果的に機能し得る新たなアジュバントを組み込んだサルモネラ不活化経口ワクチンを開発することを目的として、CTB同様、粘膜アジュバント効果を示し、毒性を持たない毒素原性大腸菌の易熱性毒素Bサブユニット(LTB)に着目し、LTBおよびfliCタンパク質を大腸菌表層にディスプレイするプラスミドベクターを構築した。構築したプラスミドベクターを大腸菌に形質転換して発現誘導を行ったところ、免疫蛍光染色では大腸菌表層への融合タンパク質の発現が確認され、Western blottingにおいては菌体外膜画分への局在が認められた。発現したLTBにはganglioside GM1(GM1)を固相したELISAにおいて結合活性が認められた。さらに発現誘導した大腸菌菌体をアセトンを用いて不活化したところ、免疫蛍光染色における反応およびLTBのGM1に対する結合性の減弱が認められたものの有意な変化では無かった。以上の結果から、新たな粘膜アジュバントであるLTB、およびSEのワクチン候補抗原であるfliCタンパク質を大腸菌表層にディスプレイするプラスミドベクターを構築することができた。また、発現したLTBは、CTB同様、5量体を形成しGM1に対する結合活性を示すことが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね研究計画通りに遂行できているが、これまで検討していた粘膜アジュバントの経口投与による効果が予想以上に低く、新たなアジュバント候補を模索する必要があった。複数種のサルモネラワクチン候補抗原タンパク質を組み合わせるディスプレイ技術、および鶏小腸粘液中のIgA測定技術の改良については、併行して検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
複数種のサルモネラワクチン候補抗原タンパク質を組み合わせるディスプレイ技術、および鶏小腸粘液中のIgA測定技術の改良について、継続して検討するとともに、母子免疫の影響が認められない実験鶏を用いて、本研究年度に開発したものを含め、鶏に対する不活化サルモネラ抗原タンパク表層ディスプレイ型大腸菌の免疫誘導能の評価方法を確立するための予備実験を行い、最適な投与日齢、投与量、投与期間、投与ルートについて検討する。さらに、実際にSEによる攻撃試験を行い、感染防除効果について評価を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度に実験鶏を用いた感染実験を計画しており、実験鶏の購入費用、および飼育管理費用が高額になる可能性を鑑みて次年度使用とした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験鶏の購入費用が、SPF鶏を使用した場合、1羽 約2,000円×最低30羽=60,000円+輸送費、加えて飼育管理費用が必要であり、複数回の実験を予定しているため、それら予算として充当する。
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