2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450452
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
加納 塁 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (00318388)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一由 酪農学園大学, 獣医学部, 教授 (30339296)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | プロトテカ / 牛乳房炎 / genotype / ELISA法 / ワクチン開発 |
Research Abstract |
葉緑素不含藻類であるプロトテカ属で、牛舎環境周辺に腐生性に存在するPrototheca zopfiiは、牛乳房炎の原因藻類であり、乳量の減少、白色の凝固物を含んだ希薄な乳汁の分泌を引き起こす。本藻類は、少なくとも2つの遺伝子型(P. zopfii genotype 1およびgenotype 2)に分類され、後者は牛の乳房炎から分離される。両遺伝子型は、18S rDNA末端および26S rDNA D1/D2 領域の遺伝子解析により鑑別されてきたが、近年本藻類のβ-tubulin遺伝子配列が一部公開された(Mancera et al ., 2011)。しかし、同遺伝子の情報はgenotype 1でのみに留まり、genotype 2に関しての報告は未だ無い。今回、genotype 2のβ-tubulin遺伝子解析を行い、genotype間での同遺伝子配列の相違を調べた。 その結果、P. zopfii genotype 1、2 各β-tubulin 遺伝子配列は15塩基で相違し、系統樹において両genotypeは各々独立したクラスターを形成した。Genotype 1では遺伝子アレル株が存在し、genotype 1株間で複数のクラスターを形成した。 P. zopfii の遺伝子型同定における、β-tubulin 遺伝子配列の有用性が示唆された。さらに、新たな防除法の確立を目的として、genotype 2から作成した粗抗原を用いた、ELISA法によるPrototheca性乳房炎発症牛血清の検討を行っている。また乳房炎発症牛血清と交差した抗原に関して、ブロッティング解析中である。現在、症例数を増やし、乳房炎発症牛および非分離牛血清中抗体価を決定すると共に、ワクチン開発に応用する予定である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、酪農学園大学と共同研究のもと、子牛へ作成した粗抗原ワクチンの投与実験を行った。投与後の子牛血清を継時的に採取するとともに、愛知農済から供与された感染牛血清を陽性コントロールとして上記ELISA法による抗体価の測定系の確立に成功した。ワクチン投与による副作用の有無の確認、抗体価の上昇について測定を行い、我々が開発中のワクチン効果についての情報を得ることができた。このことは、第156回日本獣医学会で発表を行った。以上のことから、H25年度研究目標である「ワクチンの作成」を終了し、さらに平成26年度研究目標である「牛を用いたワクチンの安全試験」を既に行っているため、概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
1)成牛へワクチン投与を行い、副作用の有無およびワクチン効果の検討を行う。抗体価の上昇、末梢血単核球の貪食能の亢進(自然免疫効果)、血清中の抗プロトテカ増殖効果の亢進について調べる。2)効果の確認後、ワクチン投与牛と非投与牛に野外株を実験感染させ予防効果を判定する。3)ワクチンによる感染予防効果を確認したら、その結果をもとにワクチン製造会社と共同開発を行い、製品化および農林水産省への届け出の準備を行う。以上の手順に従って研究を推進する予定である。ワクチン投与および感染防御実験であるが、酪農学園および愛知農済の協力が、是非とも必要であるため、今年度はさらに連携を取って推進するように計画している。また、外部の有識者の意見を仰ぐため、海外の研究協力者である自由ベルリン大学のDr. Roeslerを招聘し、研究遂行についての意見交換を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)