2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450468
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
乗峰 潤三 宮崎大学, 産業動物防疫リサーチセンター, 教授 (30627667)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 牛白血病ウイルス / 抵抗性 / MHC class II / DRB3 |
Outline of Annual Research Achievements |
1) 初年度(平成25年度)及び昨年度(平成26年度)において、宮崎県内の感染牛の血液から増幅したBLVプロウイルスゲノムの全塩基配列を決定した。特に宿主防御免疫に重要な影響を与えるエンベロープについては、系統樹を作成し、地方における蔓延状況の解析をすすめている。近年若齢子牛の発症例が大学に搬入される事が多くなっているが、その一例からエンベロープが大きく欠損している株が見られた。その結果は前回(平成26年度)の日本獣医学会(北海道大学)において発表した。2) 500頭以上の牛MHC class II DRB3におけるRFLP検査を行ったが、乳牛、黒毛和牛ともにRFLP11 (DRB3*0902)を持つ牛の割合は約10%程度であった。またBLV陽性牛の中でRFLP11を持つ牛(現在約50頭を確認)は他の型を持つ陽性牛と比較し、ウイルス量が明らかに低いことが明らかになった。3) また、リアルタイムPCRによるプロウイルス量の測定は、病態の進行を見る上で極めて重要な検査であることが示唆された。4) BLVの組み換え構造蛋白の作製については、全gag遺伝子、全env遺伝子、欠損をもつenv遺伝子のクローニングを完了したが、蛋白の精製にはまだ至っていない。5)gag及びenv蛋白のCD4+T細胞エピトープを同定するための合成ペプチドは高価で、数多く作製するため、安価で高質の(免疫学的に信頼できる)ペプチドを供給してくれる会社を検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ほぼ計画通りに進んでいるが、研究実績の概要で述べた様に、gag またはenv蛋白の精製にはまだ至っておらず、CD4+T細胞エピトープの決定ができていないという点で少し遅れている。しかしながら、それに先行してDRB3*0902テトラマーのコンストラクト作製の方が先に進んでいるので、全体的には概ね順調に進んでいると考えていいかもしれない。また、MHC class IIテトラマーの作製に関しては、当初考えていたトランジエントの発現系のみならずステイブルの発現系も開発中で、これが成功すればこれまで毎回遺伝子導入後蛋白を作製するという作業が簡略化される。研究成果発表としては、BLV伝播経路に関する2つの研究成果を学会発表した。またこれらの成果を、論文を2報にまとめ投稿し、既に受理掲載済みである。env遺伝子の系統樹に関する論文ついても、既に受理され、まもなく掲載予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
メインとなるDRB3*0902のテトラマーの作製については、コンストラクトの作製がまもなく完了する。またDRB3*0902とリンクしていると考えられているDQ分子(DQA*0204/DQB*0301)についても、抵抗性に関連する重要なエピトープが存在する可能性があるので、そのコンストラクトについても考えていく。gag及びenvの合成ペプチドを作製し、それらのペプチドがDRB3*0902及びDQA*0204/DQB*0301によってどう抗原提示されていくかを解析し、CD4+T細胞免疫原性の強いエピトープを同定していく。 末梢血における抗原特異的CD4+T細胞の定量とその動態検査については、年度末までに数回、現在研究に協力してもらっているBLV蔓延農家において検査を実施する。本農家では、数頭のDRB3*0902ヘテロのBLV陽性牛および新しく導入したDRB3*0902ヘテロのBLV陰性牛が飼育されている。これらの牛は、定期的に検査しているため、BLV感染の有無、陽転時期、ウイルス量等が把握できている。年度末には結果をまとめ、論文を投稿する。さらに本研究は、本年度(平成27年度)が最終年度となるが、本農家における調査継続は不可欠である。また、地方病性牛白血病における免疫防御の機序については、興味深い点が数多く残っている。従って、新しい今後の展開を含めた本研究の継続申請を行う予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度末になり、残りの予算では物品費および学会等の旅費がまかなえないと判断し、前払い申請を行った。その後、予定していた免疫学会への参加を中止したためことと、計画していた実験が遅延してきたため、予算を次年度まで持ち越すこととなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に前払い申請をしたが余り使用しなかったため、平成27年度の予算が、当初の実験計画とほぼ同じ使用額となったので、予定通り予算を使用していく。
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Research Products
(4 results)