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2014 Fiscal Year Research-status Report

線虫感染防御応答の初期ステージに関与する細胞の役割とその連携機構の解明

Research Project

Project/Area Number 25450469
Research InstitutionMiyagi University

Principal Investigator

森本 素子  宮城大学, 食産業学部, 教授 (30250301)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywords線虫 / 2型サイトカイン / 消化管上皮 / 腸間膜リンパ節
Outline of Annual Research Achievements

消化管内寄生虫であるHeligmosomoides polygyrus(Hp)がマウスに感染するとT細胞はTh2細胞へと分化し、Interleukin(IL)-4やIL-13などの2型サイトカインの増大によってHpの排除が起こる。本研究では、この2型免疫応答の初期ステージに関わる細胞の働きを明らかにすることを目的とし、平成26年度は感染直後から8日目までのサイトカイン産生の変動と消化管上皮の働きについて解析した。
Balb/c (8週齢)マウスにHpを経口感染させ、感染直後から経時的(Day0,1,2,3,4,5,8)に腸間膜リンパ節と小腸を採取して種々の解析を行った。その結果、小腸では、感染直後からIL-4、IL-13、IL-33遺伝子の発現が一時的に上昇した後、減少し、さらに4、5日目から再び上昇する一方、IL-25、IFN-γ、TLR2、TLR4は変動しないことがわかった。また、HE染色による小腸組織の病理学的解析により、感染3日目からシストが形成されていることを確認した。さらに、蛍光免疫染色により、シスト周辺におけるCD4陽性細胞の集積は感染3日目から徐々に始まり、感染8日目に最大となることが確認された。一方、腸間膜リンパ節でIL-4、IL-13の遺伝子発現が始まったのは感染4日後になってからであり、CD4/25陽性細胞の割合も5日目になって上昇を示した。腸間膜リンパ節から分離した腸間膜リンパ節細胞を培養した結果、感染後4日目からIL-4の産生が起こることが確認された。LCM法により採取した小腸上皮の解析の結果、IL-33の産生は感染直後(Day0~2)に見られることも確認された。虫体のシスト形成および腸間膜リンパ節細胞の活性化以前に小腸粘膜下にサイトカイン産生を誘導する機序について、今後さらに解析する必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

IL-4およびIL-13のレセプターは小腸の上皮にも存在する(Morimoto M. et.al. J. Immunol. 2006)。杯細胞の過形成や感染に伴う上皮透過性の変化は、これらの2型サイトカインがレセプターを介して誘導すると考えられる。一方、線虫の侵入を一番に察知するのは上皮細胞であり、上皮からのIL-33の分泌が自然免疫リンパ球への最初のシグナルと考えられるため、上皮細胞はセンサーおよびエフェクターとしての役割を併せ持つ重要な細胞であると考えられる。今年度はLaser Capture Microdissection(LCM)法を用いてHp感染後から経時的に上皮を採取して解析し、すでに報告されているよりも早いステージでIL-33の遺伝子発現が起こっていることを明らかにした。以上の成果は、当初計画の通りである。

Strategy for Future Research Activity

平成26年度までの本研究の結果から、線虫感染の初期ステージに小腸粘膜下において一時的に強いサイトカイン産生が起こること、その機序に樹状細胞の関与は大きくないことが明らかになったが、感染直後から生じる免疫担当細胞の相互作用および排虫に至る消化管の生理学的機能変化についてはさらなる解析が必要である。自然免疫リンパ球は、線虫感染初期に非常に重要な役割を果たし、生体防御応答を獲得免疫系へつなげることが予想される。Hpは虫の存在する局所が明確であり、粘膜下における免疫担当細胞の集積やその作用を見るのに優れているため、今後は自然免疫リンパ球の粘膜下における局在や機能について明らかにしていきたい。自然免疫リンパ球は腸管上皮における杯細胞の増殖にも関与すると言われているため、小腸上皮の透過性の変化など機能性との関与についても調べて、その役割を明らかにする。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じてはいるが大きな額ではない。ほぼ予定通りに支出し、実験は予定通り実施できたので、残額は次年度に使用したい。

Expenditure Plan for Carryover Budget

残額は少額であり、消耗品に使用予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Acknowledgement Compliant: 1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] Impairment of Host Resistance to Helminthes with Age in Murine Small Intestine.2015

    • Author(s)
      Morimoto M, Saito C, Muto C, Akamatsu Y, Chiba T, Abe T, Azuma N, Suto Y
    • Journal Title

      Parasite Immunology

      Volume: 37 Pages: 171-179

    • DOI

      10.1111/pim.12170.

    • Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
  • [Presentation] The effect of dietary selenium deficiency on Th2 immune responses against nematode infection.2014

    • Author(s)
      Motoko MORIMOTO
    • Organizer
      第43回日本免疫学会総会・学術集会
    • Place of Presentation
      京都
    • Year and Date
      2014-12-12
  • [Presentation] 線虫感染によって誘導される2型免疫応答の初期ステージ.2014

    • Author(s)
      新実香奈枝, 須藤佳子, 石塚魁, 菊地愛美, 川辺玲奈, 森本素子
    • Organizer
      第157回日本獣医学会学術集会
    • Place of Presentation
      札幌
    • Year and Date
      2014-09-11

URL: 

Published: 2016-05-27  

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