2013 Fiscal Year Research-status Report
異種間キメラによるウシES細胞の多能性評価と生殖系列細胞の誘導
Project/Area Number |
25450480
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
徳永 智之 独立行政法人農業生物資源研究所, 動物発生分化研究ユニット, ユニット長 (50355731)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 異種間キメラ / ES細胞 |
Research Abstract |
ウシ体外受精(IVF)胚及び体細胞核移植(NT)胚より樹立したES細胞のキメラ形成能を評価する簡便法を開発するため、ウシES細胞をマウス胚に注入して異種間キメラ胚を作出し、発生したキメラ胚におけるウシ細胞の局在を調べた。すなわち、マウス8~16細胞期胚の囲卵腔に蛍光標識(DiI)またはGFP遺伝子導入したウシES細胞を5個注入してキメラ胚を作出し、10%FCS加KSOM培地を用いて常法により48時間培養した。得られた胚盤胞におけるウシ細胞の局在を蛍光顕微鏡(Bio-Zero, キーエンス社)で観察し、10μmピッチでZスタック撮影して記録した。ウシES細胞としてはIVF胚由来ivf-ES♂#5、NT胚由来nt-ES♂#2、nt-ES♀#2、Oct3/4遺伝子の発現を補強すると共にレポーターGFP 遺伝子を導入したivf-ES♂#5/PBbOctTG10及びnt-ES♂#2/PBbOctTG10の5株を用いた。その結果、蛍光標識した3株では胚盤胞の100%、100%及び95%で蛍光細胞が観察され、ICMに蛍光細胞が観察された胚は38%、47%及び48%であった。一方、TEに蛍光細胞が観察された胚は100%、93%及び90%であり、ウシES細胞はキメラ胚のICMのみならずTEにも寄与し得ることが示唆された。Oct3/4発現補強GFP発現ES細胞2株では、胚盤胞の85%、81%で蛍光細胞が観察され、この内、ICMに蛍光細胞が観察された胚は21%、50%であった。一方、TEに蛍光細胞が観察された胚は79%、56%であり、有意差はないが野生型の細胞に比べてTEへの局在が減少する傾向が見られた。2株については、キメラ胚盤胞の胚移植及び体外培養の延長により卵円筒期胚における蛍光細胞の追跡を試みたが、組織の非特異的蛍光が強くなり、GFP発現細胞を明確に観察することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウス胚のウシES細胞の異種間キメラ胚を複数の細胞株を用いて検討を行い、キメラ胚盤胞のICMのみならずTEにも局在し得ることを示し、概ね順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
キメラ胚の発生後期におけるウシ細胞の寄与は、組織の非特異的な蛍光が増し、蛍光細胞の追跡が困難であることが判明した。これを解決するために、レポーター遺伝子をLacZに改変し、得られたキメラ後期胚は固定した後、X-gal染色を施し、最終的には組織切片を作製してウシ細胞の寄与を明らかにしたい。
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