2015 Fiscal Year Research-status Report
チクシトゲアリ創設女王どうしの協力行動の適応的意義と生体アミンが行動に与える影響
Project/Area Number |
25450483
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
佐藤 俊幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (80242238)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小山 哲史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10549637)
佐々木 謙 玉川大学, 農学部, 准教授 (40387353)
大松 勉 東京農工大学, 農学部, 講師 (60455392)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 協力行動 / 血縁 / 生体アミン / オクトパミン / 栄養交換 / 敵対行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
チクシトゲアリは血縁のない創設女王どうし栄養交換を行い、越冬し産卵開始後も共同でブルー度を養育し、コロニーを共同創設することがある。ただし、成熟したコロニーは全て単女王制で、女王どうし攻撃的になる(Sasaki et.al. 1996; Sasaki et.al. 2005).本研究では、血縁のない女王どうしの協力行動の適応的意義、生理的メカニズムを飼育実験と行動観察により明らかにする。 成熟コロニーの女王は創設女王に比べ脳内オクトパミン濃度が有意に高いこと、創設女王にオクトパミンを経口投与すると、協力行動が低下することを明らかにした(Koyama et.al. 2015)。さらに、創設女王の数が多い越冬集団ほど創設女王の脳内オクトパミン濃度が高いことを明らかにした。また、行動観察により、実験的に遭遇させると、単独創設女王は盛んに複数創設女王に対し餌ねだりをするが、後者は応じないこと、複数創設女王は低頻度で餌をねだる複数創設女王に対しては餌ねだりに応じることを明らかにした。巣内の創設女王数が増加するほど脳内オクトパミン量が増加することには、個体間相互作用の頻度の違いが反映している可能性が示唆された。 並行して、創設女王と成熟コロニーの女王におけるオクトパミン関連遺伝子の発現を比較するため、新たに研究分担者を加え、次世代シーケンサーを用いたRNAseq解析の予備実験を開始した。将来的には、女王の行動が協力から敵対へと変わるメカニズムを遺伝子レベルから解明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
創設女王の数が増えるほど脳内オクトパミン濃度が増加し、単独創設女王と複数創設女王の餌ねだり行動と協力行動の違いに反映することが明らかになってきた。
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Strategy for Future Research Activity |
創設女王どうしのインタラクションをこれまでは1対1で観察してきたが、今後は3者系(3つ巴)にして、ある個体だけにオクトパミンを投与するなどして、行動を操作し、協力関係がどう変化するのか観察する。並行して、創設女王と成熟コロニーの女王におけるオクトパミン関連遺伝子の発現を比較するため、次世代シーケンサーを用いたRNAseq解析を進める。将来的には、女王の行動が協力から敵対へと変わるメカニズムを遺伝子レベルから解明する。
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Causes of Carryover |
共同機器の利用に見込んでいた予算が、相乗り等により節約できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次世代シーケンサー用いたRNAseq解析に使用する。
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