2014 Fiscal Year Research-status Report
共生細菌スピロプラズマによる昆虫宿主制御の分子基盤の解明
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25450492
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
陰山 大輔 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫微生物機能研究ユニット, 主任研究員 (60401212)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | スピロプラズマ / 共生細菌 / 昆虫 / 垂直伝播 |
Outline of Annual Research Achievements |
ナミヒメハナカメムシ(Orius sauteri)において垂直伝播する共生細菌スピロプラズマを液体培地中で培養することに成功し、その増殖経過を吸光度計を用いて観察した。また同様の成分を持つ固形培地(寒天培地)においてもこのスピロプラズマを増殖させることに成功し、コロニーを得ることができた。昆虫宿主において垂直伝播するような共生細菌について従来宿主体内に存在する菌体を遺伝的に均一な集団としてみなしてPCRなどによる間接的な実験しかおこなうことができなかった。今回、垂直伝播するスピロプラズマを固形培地上でコロニー形成させることができたことにより、本当の意味で遺伝的に均一な集団を作ることができ、今後の遺伝子導入などの精密な実験に用いることができると考えられる。この内容について現在原著論文を作成中である。また、増殖させたスピロプラズマの菌体からプラスミドを抽出する実験を試みたが、プラスミドを思われるバンドを確認することができなかった。このスピロプラズマがプラスミドを持っていないのか、それとも大腸菌などと比較して非常に低密度でしか保持していないのかについては不明である。更なる追試が必要と思われる。 カオマダラクサカゲロウ(Mallada desjardinsi)にオス殺しを起こすスピロプラズマについては、様々な方法で昆虫培養細胞内での増殖や液体培地での増殖を試みたが、今のところうまくいっていない。どうしてうまくいかないのかについて、より詳細な調査が必要であると思われる。 また、カオマダラクサカゲロウにおいて高頻度で感染しており垂直伝播する共生細菌リケッチアを昆虫の培養細胞内で増殖させることに成功し、現在カオマダラクサカゲロウの非感染系統への人工感染実験(マイクロインジェクション)を行っているところである。このリケッチアについても液体培地での培養が可能かどうか今後調査してみる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
スピロプラズマ系統の準備やその培養についてはそれなりに順調に進めることができたと思われるが、プラスミドの単離についてはまだ予定通り進められおらず、今後の進捗に期待したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、様々なスピロプラズマからプラスミドを単離することを試み、なるべく早めに遺伝子導入実験を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
ヒメハナカメムシやクサカゲロウの飼育に必要なスジコナマダラメイガの卵の購入のタイミングが飼育の都合(昆虫の生育速度と必要な個体数の関係など)により少し後にずれ込んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度購入予定であったスジコナマダラメイガ卵を繰り越した予算によりすでに購入済み(2015年5月)。
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