2013 Fiscal Year Research-status Report
水田微生物燃料電池の土壌生態系への影響解析と電極からの新規有用微生物の分離・利用
Project/Area Number |
25450496
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
加来 伸夫 山形大学, 農学部, 准教授 (80359570)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 資源循環システム / 自然エネルギー / 地球温暖化ガス排出削減 |
Research Abstract |
以前、水田に設置したMFCの正極および負極に発達する微生物群集の構造を16S rDNAを標的としたPCR-DGGE法で解析した。負極上で主要な電流生産微生物と思われる微生物に近縁な分離菌株について、電流生産能力を調べたところ、優良な電流生産能力を有していることが明らかになった。 正極から分離した光合成微生物分離株を二槽式MFCの正極に接種して、光合成微生物がMFCの起電力に与える影響を明条件と暗条件で調べた。その結果、いずれの光合成微生物とも明条件においてMFCの発電を促進することが分かった。この結果は、水田に設置したMFCの発電が日中に高くなり、夜間に低下する現象とよく一致していた。 次に、水田MFCが水田土壌中における環境要因や有機物分解、そしてメタン生成に与える影響を調べるための実験系を構築した。メタン生成は湛水水田土壌中における有機物分解過程の最終ステップであり、MFCにおける発電と競合関係にあることが知られている。また、メタン生成は硫酸還元細菌とも競合関係にあることが分かっている。これらの間の関係を明らかにするための実験に用いるMFCはメディウムビンを用いて作成した。メディウムビンに水田土壌を入れてMFCを設置し、きちんと発電できるかを確認した。次いで、メディウムビンをゴム栓で封じて、ビンの気相中にメタンが蓄積する様子を追い、水田土壌からのメタン発生を測定できることを確認した。さらに、メタン生成の阻害剤である2-ブロモエタンスルホン酸ナトリウムおよび硫酸還元の阻害剤であるモリブデン酸ナトリウムの添加濃度の検討を行い、適切な濃度を決定した。以上の検討を通して、MFCの設置が土壌中におけるメタン生成を抑制する可能性が示唆された。今後、今回の検討により確立した条件でより詳細な解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究実施計画では、1)水田に設置したMFCの正極および負極に発達する微生物群集を解析し、2)負極および正極からの分離菌株が発電に貢献できるかを調べることになっている。また、3)水田MFCが水田土壌中における環境要因や有機物分解、そしてメタン生成に与える影響を調べることになっている。 1)と2)については、微生物群集構造の解析と分離菌株の電流発生能力の試験を行い、概ね目的を達成できた。また、3)についても、実験条件の確立を行い、さらに、MFCが土壌中の有機物分解とメタン生成に与える影響について基礎的なデータを得ることに成功したことから、概ね順調に進展していると評価した。。
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Strategy for Future Research Activity |
水田MFCより分離した菌株については、発電への関与の有無だけでなく、生理・生化学的および分子系統学的特徴付けを進める。新規性の高い分離菌株については、記載に向けた特徴付けにつても同時並行で進める。それらの情報を元に、水田MFCにおける役割について解明を進める。 水田MFCが水田土壌中における環境要因や有機物分解、そしてメタン生成に与える影響については、25年度に確立した実権方法を用いて解析を進める。まず、25年度に得られた結果の再現性を確認するとともに、25年度と26年度に得られた結果から、水田からのメタン放出を抑制するためにはどうすれば良いか考察する。
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Research Products
(1 results)