2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450498
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
野崎 功一 信州大学, 工学部, 准教授 (10313834)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セルロース分解 / Swollenin / セルラーゼ |
Research Abstract |
セルロース膨潤タンパク質であるSwolleninを遺伝子組換え技術によって作成し,その反応機構と反応によって調製されたセルロースの構造解析を行った。 1.セルロースの膨潤は,Swolleninによる加水分解反応によって引き起こされるのかーSwolleninのセルロース膨潤活性は,セルロース表面のごく一部で生じ,機器分析によって膨潤に起因する結果を得ることはできなかった。しかし,セルラーゼ活性の促進効果を調べることでSwolleninの作用を定量化することに成功した。一方,Swolleninによるセルロースの加水分解力を生成物のゲル浸透クロマトグラフィーによって定量化することにも成功した。その結果,Swolleninの作用によって,高重合度のセルロースに対しても,可溶性の糖質は確認されないものの,重合度の低下が起こり加水分解が生じていることが明らかとなった。また,加水分解とセルラーゼ活性の促進効果には関連性が確認された。同様に,Swolleninと類似した構造をもつTrichoderma reesei由来エンド型セルラーゼ(EG5)を用いて同様の実験を行った。本酵素の添加によってもセルラーゼの活性促進効果が確認されるが,その効果はSwolleninに比較して明らかに低く,Swolleninの促進効果はその加水分解力だけでなく,他の要因が関与していることが示唆された。 2.セルロース膨潤に関与するアミノ酸残基の同定ーカルボキシメチルセルロースを基質としてSwolleninの加水分解生成物のアノマー型を決定した。その結果,反転型であることを明らかにした。この結果は,Swolleninと類似した構造を持つEG4の特性と一致しており,構造のみならず反応機構も類似していることが示唆された。EG5においては,加水分解に寄与する2つの触媒アミノ酸残基はアスパラギン酸であることが判明しており,Swolleninに保存されているアスパラギン酸の変異体の作出を試みる予定でいる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度における,研究計画を実施・終了したため。 Swolleninの作用機構を解明するために,その基礎となる知見を明らかとした。具体的には,セルロース膨潤作用の定量化,加水分解とセルロース膨潤作用の関連性および生成物のアノマー型の同定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度の結果を受けて,以下の事項について実行する。 1.Swollenin存在部位の特定ーSwolleninのセルラーゼ活性促進効果には,加水分解力以外の要因も関与していることが明らかとなった。これには,バクテリアExpansinでも報告されているセルロースへの吸着作用が関与している可能性がある。平成26年度実施予定の抗体によるセルロースへの吸着部位の特定では,その吸着力をセルラーゼと比較することを実施する。 2.Swollenin発現量と発現時期の特定ーSwolleninの役割を解明するために,RT-qPCRによって発現時期と発現量を調査する。1で作成した抗体によって,タンパク質レベルでの調査も実施する。 3.セルラーゼ成分の調製ーSwolleninのセルラーゼ活性促進効果を解明するために,T. reesei由来各種セルラーゼの組換え酵素を調製する。対象とする酵素成分は,Cellobiohydrolase 1 (CBH1), CBH2, endoglucanase 1 (EG1), EG2, EG4, β-glucosidase 1 (BGL1) とする。
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