2014 Fiscal Year Research-status Report
微好気培養法による未知水生菌類の探索と培養株の収集・保存
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25450500
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
中桐 昭 鳥取大学, 農学部, 教授 (70198050)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微好気性真菌 / 低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、水中の微好気(低酸素)環境に生息する菌類を、基質を微好気条件下で培養することによって、これまでの真菌類の一般的な分離法である好気培養では見逃されてきた菌類を分離して、未知の水生菌を見出すこと、そしてその菌類の分類位置や特性を明らかにし、新たな菌類資源として確立することを目的としている。H26年度は、昨年度開発した2段階分離法を用いて、異なる酸素条件に適応した菌を選択的に分離することを目指した。2014年6、7、9月に鳥取市内の池の水底に堆積したコナラ、アラカシ、サクラの枯死葉を採集し、改変LCA液体培地で1週間の前培養(溶存酸素濃度 低: 3.4-24.4%、中: 31.8-52.0%、高:71.2-100.4%)の後、寒天平板培地上で本培養(気相酸素濃度 低: 約0%、中: 約10%、高: 約21%)を行い、出現菌を分離した。分離菌は形態およびDNA塩基配列情報に基づき同定した。さらに、分離株を用いて、本培養と同様3種類の酸素条件で菌糸生長および胞子形成を調査した。 その結果、分離菌は菌糸生長や胞子形成が良好な酸素条件に基づき低酸素菌、中酸素菌、高酸素菌、広範囲菌に類別できた。分離菌のうち、低酸素菌はDactylaria cf. obtriangularia、 Aspergillus sp.の2種、中酸素菌はGeotrichum sp.の1種であった。高酸素菌(7種)や広範囲菌(5種)は低酸素条件でも生育可能であった。一方、低酸素菌は低酸素条件でも生育が遅く、低酸素分離法で選択的には分離できなかった。この点については、基質の選択や分離方法の改良が必要と考えている。低酸素菌や低酸素分離菌株の中には未記載種の可能性がある菌も存在したため、分類学的検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度開発した2段階分離法を用いて、淡水池の水底の低酸素環境にある落葉から、低、中、高の3段階の酸素濃度にそれぞれ適応している菌を分離することができた。培養性状の観察から、菌糸成長と胞子形成の両面から、低酸素菌、中酸素菌、高酸素菌、また、広範囲の酸素濃度に適応している広範囲菌を特定することができた。また、これらの中に、新規分類群の可能性のある未同定種も含まれることが判明しており、それらの菌株も保存した。このように、本研究の目的達成に向かって着実に進展していることから、おおむね計画通りに実施できたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
H26年度の研究では、低酸素菌、中酸素菌と言える菌も分離できたが、分離株の多くはいわゆる好気的な高酸素菌であった。これは、真菌類は高酸素菌と言える菌でも、低い酸素濃度に対してかなりの耐性があることが原因と考えられる。このことから、用いた2段階分離法では、低酸素菌を効率よく分離することは難しいことが分かった。そこで、H27年度は、低酸素についてより選択圧を高めた分離法を用いるとともに、基質もより低酸素~嫌気的環境にあるものを用いて、より効率的に低酸素菌を分離することを試みる。また、H26年度は淡水中の基質を分離源としたが、H27年度は汽水湖の底部(塩分躍層により湖底の海水層が低酸素化する)の基質を分離源として、海水の低酸素環境に生息する菌類の探索を行う。分離した菌株は分類学的所属を明らかにするとともに、酸素に対する培養性状を明らかにする。 また、H27年度は最終年度であるので、本研究で分離された淡水域および汽水(海水)域からの低酸素菌、中酸素菌の性状比較および分類研究を行い、さらに、菌株を適正に保存して、新たな遺伝資源として保存菌株を確立する。
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Causes of Carryover |
研究に必要なものは、計画的に適宜購入したが、割引等があり、予想よりも安価に購入できるものがあったため、残金が生じた。無理に使わず、次年度に有効に使うことととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品を購入する費用に充てる。
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Research Products
(1 results)