2014 Fiscal Year Research-status Report
企業緑地のパブリックオープンスペースとしての再生とその手法に関する研究
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25450508
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
柳井 重人 千葉大学, 園芸学研究科, 准教授 (30241946)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 緑地 / マネジメント / ランドスケープ / 企業 / 協働 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,主として工業系の土地利用における企業緑地について検討を進めた前年度の成果を受け,①商業系土地利用における企業緑地の活用方策を探ること,②市街地縁辺部における企業の緑地保全への参加方策を探ること等を主たる目的とした。 ①に関しては,広島市や福岡市における現地視察や関係者インタビューを実施した。広島市では,中心市街地を貫流する京橋川と都市公園に隣接するホテル等の公開空地の活用状況や企業の認識を把握した。また,福岡市では,天神地区のエリアマネジメントにおける公開空地等の活用状況を検討した。いずれの事例においても,公開空地やその一部が,イベントの開催や飲食店の屋外スペース等として公開・利用されていること,隣接する都市公園や街路等の公共空間の活用との連携が有効であること,そのためのルール設定のあり方が課題になること等が把握された。 ②に関しては,東広島市西条地区の企業による里山保全活動をケーススタディとして実施した。この事例は,地域の主要産業である酒造業の団体が、水源林を保全する活動を主導している事例である。当該活動の歴史的経緯,活動実態,主体間の関係および認識を検討した結果,酒造業による売上の一部を保全活動に充てるなど財源が確保されていること、里山が公開されるとともに,地域に進出した他企業の里山保全活動も「企業の森」として受け入れていること、地域の大学等の教育機関との連携も確保されていること等が持続的な活動に寄与していると考えられた。 上記以外にも実施した国内各地の先進事例を視察と関係者インタビューの成果も含め,今後は,個々の企業緑地の公開のみならず,複数の企業緑地,都市公園等の公共緑地,民有樹林地等の地域資源との連携や活用による地域づくりへの展開が課題になると推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は,主として工業系の土地利用における企業緑地について検討を進めた前年度の成果を受け,①商業系土地利用における企業緑地の活用方策を探ること,②市街地縁辺部における企業の緑地保全への参加方策を探ること等を主たる目的とした。 これに対して,研究成果の概要に示すように,先進事例の視察や関係者へのインタビューに加えて,具体的なケーススタディも実施することができた。これらを踏まえ,「(2)概ね順調に進展している」と自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究成果から,今後は,個々の企業緑地の公開のみならず,複数の企業緑地,都市公園等の公共緑地,民有樹林地等の地域資源との連携や活用による地域づくりへの展開が課題になると推察された。 そこで,平成27年度は,企業緑地を基点とした,複数の企業録地,都市公園等の公共緑地,民有樹林地等との間の連携を基調とした,地域のパブリックオープンスペースの再生と展開の方策を検討することとしてケーススタディを実施する。ケーススタディでは,当該地区の歴史的経緯,企業緑地や都市公園等の公共緑地の分布,活用および管理運営実態,主体間の関係や認識,地域展開におけるルールづくり等に着目する。 なお,平成27年度は研究の最終年度にあたるので,上記に加えて,企業緑地のパブリックオープンスペースとしての再生とその手法のあり方を総括する。
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Causes of Carryover |
当初予定していた先進事例の現地視察および関係者インタビューについて,実施時期等が調整できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
昨年度予定していた,先進事例の現地視察および関係者インタビューに関して再調整を行い,平成27年度の研究計画に加えて実施する予定である。先進事例となる地域までの旅費,関連資料の収集やインタビュー記録の作成等に係わる人件費・謝金としての支出を予定している。
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