2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25450513
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
鈴木 貢次郎 東京農業大学, 地域環境科学部, 教授 (80256643)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
亀山 慶晃 東京農業大学, 地域環境科学部, 准教授 (10447047)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 造園 / 植物 / サクラ / DNA / 雑種 |
Outline of Annual Research Achievements |
サクラの品種は造園的,園芸的に広く利用されている.中でも早咲きのサクラ品種の多くは,カンヒザクラを片親とする雑種個体と推定されてきた.カンヒザクラは中国および台湾原産の野生のサクラであり,日本の石垣島に生育するものは,自生のものかどうかは不明である.しかし,台湾と沖縄のカンヒザクラでは形態の違いも指摘されており,日本のカンヒザクラと他の地域のカンヒザクラとの関係はわかっていない.本研究では,日本国内の早咲きのサクラ品種が,どの地域集団のカンヒザクラから作出されたのかを明らかにするため,早咲きのサクラ品種14種と,その親種候補としてオオシマザクラ,ヤマザクラ,カンヒザクラの3種を対象に,AFLP遺伝分析を行った.3つの組合せのプライマーを使用してAFLP分析を行った結果,178本のバンドで186の遺伝子型が識別された.主座標分析及びSTRUCTURE分析の結果,親種候補はヤマザクラ,オオシマザクラ,中国のカンヒザクラ,台湾のカンヒザクラ,日本のカンヒザクラの5つに分けられた.また、対象とした14種の早咲きの品種のサクラのうち,10種において,その作出にカンヒザクラが関係することが確認できた.早咲きの品種のサクラは,親種の変異個体と考えられるもの,カンヒザクラとオオシマザクラの雑種と考えられたもの,カンヒザクラとヤマザクラの雑種と考えられたもの,同品種内で異なる遺伝的組成の個体が確認されたものに区分された.2品種は,由来に不明な点が残り,今回対象としなかった野生種がその作出に関わったと考えられた.日本国内の早咲きのサクラ品種では,その大半で日本のカンヒザクラ集団との類縁関係が認められたが,カンヒザクラは中国,台湾,日本で,遺伝的に大きく異なると確認されたことから,今後はどの地域集団のカンヒザクラであるかを把握した上で利用することが,国内の早咲きのサクラ品種の保存にもつながると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文のまとめ,データ整理に時間を要したが,1本目の学術論文を4月中を目途に学会誌(園芸学会誌)に投稿する。
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Strategy for Future Research Activity |
親種が明らかになっていないその他の品種についても親種を明らかにする。さらに片親種であるオオシマザクラやヤマザクラの地域分布などについても材料を集め,実験的に明らかにする予定である。これらの知見を集め,本年度は,最終年度であるため,データのまとめ,論文発表に集中する。これらの工程は,ほぼ計画通り進んでいる。
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Causes of Carryover |
2013年度に実験材料の採取などを1段階目として済ませたため,2014年度は比較的室内での作業が多かった。そのため予算の執行も比較的抑えることができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年4月中に一度,まとめを行い(発表する),不足データなどを再確認する。そして改めて,9月までに,調査,材料の採取などを行い,計画的に執行する。またAFLP分析用の薬品などの購入もあるので,それらは早めに購入し,再実験の準備にとりかかる。
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Research Products
(2 results)