2014 Fiscal Year Research-status Report
多官能基共存型ピンポイント酸化反応の開発と高酸化型天然物合成への展開
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25460003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
岡野 健太郎 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (30451529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | C-H酸化 / アラノチン / MPC1001 / タラチサミン / アコニチン |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、すでに全合成を達成したMPC1001Bについて、合成の効率化を目的としてそれぞれの反応段階の検討を行った。その結果、MPC1001類に共通するジスルフィドユニットの導入の際に、硫黄官能基の分子内転位が起きることがわかった。本反応を用いる段階的なジスルフィド形成反応を用いて合成の効率化を達成した。また、MPC1001類の網羅的合成を目指して、MPC1001Bの一段階酸化反応を検討した。具体的には、モデル基質として、ジヒドロオキセピンとプロリンとが縮環した上部モノマーユニットに対して、アリル位酸化反応を行った。現段階では、唯一二酸化セレンが有望な結果を与えた。本条件においては、ジスルフィド結合も保持されることから、合成終盤においても適用可能な条件になりうると考えている。今後、添加剤を検討するなどして、合成終盤における温和なアリル位酸化反応へ展開する。タラチサミン、アコニチン類の合成研究については、前年度に転位反応を鍵とする右部部分構造の構築に成功しており、平成26年度は、左部含窒素部分構造の合成研究を行った。その結果、ラジカル条件下、形式的にラクタム窒素原子のアルファ位C-H結合を酸化して生じるアシルイミニウムイオンに対して、分子内Mannich反応を行い、タラチサミン、アコニチン類に共通する左部含窒素部分構造の構築に成功した。本知見を利用し、予備的検討で確立した合成経路を大幅に短縮する、新規経路の開発を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MPC1001類に関しては、すでにMPC1001Bの全合成および合成経路の最適化を完了している。アリル位酸化法の最適化を行えれば、MPC1001の合成も十分に可能である。また、タラチサミンおよびアコニチンについては、新規炭素炭素結合生成反応を見出したことで、先の検討に耐えうる化合物を供給できる見通しが立った。
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Strategy for Future Research Activity |
MPC1001類に関しては、既存のアリル位酸化反応に加えて、生体内で利用されている酸化反応を参考に、幅広く反応条件を検討する。タラチサミンおよびアコニチンについては、当初計画した遠隔C-H酸化反応の検討が十分に行えていない。そこで、27年度は、これらアルカロイドに共通する全炭素骨格の構築に加え、既存の手法を参考に、酸素官能基を導入するための検討にも重点をおいて研究を進める。
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Research Products
(2 results)