2014 Fiscal Year Research-status Report
不斉四置換炭素を持つ多置換シクロヘキサン融合型複素環の触媒的不斉合成法の開発
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25460006
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
原田 真至 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (10451759)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成化学 / 不斉触媒 / 多環性骨格構築 / 不斉四級炭素 / ヒドロカルバゾール / ホルミウム / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までにシロキシビニルインドールを電子豊富ジエンとするDiels-Alder反応の開発に成功し、その付加体からの官能基変換反応について複数の例を示すことに成功していた。今年度はより実用的な反応へと昇華するべく反応条件、および変換反応の再検討を行うことから始めた。その結果、脱水剤としてMolecular Sievesを反応系中に添加すると触媒量の低減化が可能であることを見出した。最終的には、1グラム以上の基質を用いる反応スケールにて、触媒量は0.5 mol %にまで低減可能であることを確認した。なお、生成物の収率および立体選択性に悪影響が無いことも確認している。さらに、生成物は四環性含窒素骨格であるピロロカルバゾールまで収率良く変換可能であった。一連の変換反応は途中精製すること無く、単一のフラスコで行えることもわかっており、さらに四級炭素構築を含めて立体化学は完全に制御できている。 開発した反応の実用性が確認できたため、含窒素天然物の全合成に着手した。目標化合物としてMinovincineを設定し合成を検討した所、途中望みでない立体化学を持つ異性体は一切生成することなく、完璧な立体選択性にて目標化合物の全合成に成功した。なお、本合成例は世界で二例目となる。 さらに、反応開発に立ち戻り、基質一般性のさらなる拡大にも挑戦した。昨年度までに既にインドール以外の複素芳香族化合物由来のジエンを用いた反応への適用検討を行っていたが、今年は芳香族ではない複素環融合型ジエンの適用を検討した。本化合物群は複素芳香族化合物由来のジエンよりも不安定であり、基質合成ルート・精製方法の確立と続く不斉反応条件の最適化が必要であったが、目的の反応は円滑に進行し、付加体を高収率、高立体選択的に得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
新規ホルミウム触媒の触媒量低減化に成功し、また天然物全合成を達成できたことは当初の計画以上の進展である。また、本ホルミウム触媒は、インドールを始めとする複素芳香族化合物由来の基質だけでなく、単純な複素環由来の基質にも適用可能であることがわかり、より広範な基質に対して利用できる一般的な触媒としてさらなる可能性を秘めていると考えられる。 一方、ホルミウム錯体の構造解析については単結晶X線構造解析を目指して結晶化を検討中であるが、未だ成功していない。現在までの所、固体が析出しない、もしくはゲル状の物質が沈殿するのみであり、結晶化条件を広範に検討していくことが必要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
別の生物活性天然物の全合成に着手し、本触媒的不斉反応のさらなる有用性を提示する。芳香族ではない複素環由来のジエンを基質とする反応の付加体についても各種変換反応を検討し、天然物合成へと展開する。 錯体構造の解析については、錯体調製後に基質のジエノフィルを添加するとパウダー状物質が析出することが分かったため、触媒調製後に基質や配位子等の添加剤を入れることで錯体の物性を変化させて結晶化を試みる。
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Research Products
(14 results)