2015 Fiscal Year Annual Research Report
短いペプチドオリゴマーを用いた、水中での強固な規則構造の構築と制御
Project/Area Number |
25460009
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
尾谷 優子 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (60451853)
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Project Period (FY) |
2013-02-01 – 2016-03-31
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Keywords | β-アミノ酸 / ヘリックス構造 / プロリン / アミド結合 / シス-トランス異性化 / 計算科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、プロリン型の3級アミド結合を持つ二環性β-プロリンミミックを用いた機能性物質創製のための構造化学の基礎および応用研究を行うことを目的とした。3級アミドはシスアミド体とトランスアミド体の平衡混合物になることが多く、規則構造の創製にはアミド平衡の制御が必須である。アミド平衡をシス・トランスどちらか一方に完全に制御したプロリン誘導体の報告は少ない。 3年間の研究期間を通じて、二環性骨格の橋頭位に1個置換基を導入したβ-アミノ酸を創製し、アミド平衡をシスあるいはトランス一方に完全に偏らせることに成功した。また、このようなβ-アミノ酸を2個連結させ、閉環メタセシス反応を用いて橋頭位置換基同士を結んだ環化モデルペプチドのアミド結合の溶液構造解析を行ったところ、環化前はシスアミド体のみを取っていたが、環化によりシス/トランス比や回転障壁が変化し、環を作るリンカー長が短いほどトランス体の割合が増え、回転障壁も低下することを見出した。 トランスアミド体をとるβ-アミノ酸を2個から8個連結させたペプチドオリゴマーを創製し、溶液構造解析や短い(2-3量体)オリゴマーのX線結晶構造解析を行った結果、安定なヘリックス構造をとることを示した。これは生体にない構造規則性を持つ伸長型ヘリックス構造であり、人工アミノ酸であるため生体内での酵素消化に対する安定性をもつと予想される。このペプチドオリゴマーのうちのいくつかが、あるタンパク質-タンパク質相互作用を阻害することを見出した。今後は阻害活性を改善すると同時に、タンパク質への作用部位等を明らかにしたい。
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Research Products
(27 results)
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[Journal Article] Structure-Activity Relationships of Lysophosphatidylserine Analogs as Agonists of G-Protein-Coupled Receptors GPR34, P2Y10, and GPR1742015
Author(s)
Masaya Ikubo, Asuka Inoue, Sho Nakamura, Sejin Jung, Misa Sayama, Yuko Otani, Akiharu Uwamizu, Keisuke Suzuki, Takayuki Kishi, Akira Shuto, Jun Ishiguro, Michiyo Okudaira, Kuniyuki Kano, Kumiko Makide, Junken Aoki, and Tomohiko Ohwada
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Journal Title
Journal of Medicinal Chemistry
Volume: 58
Pages: 4204-4219
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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[Presentation] リゾリン脂質のGPCRへの結合様式解明のための誘導体合成2016
Author(s)
佐山 美紗, ジョン セジン, 中村 翔, 井久保 仁也, 尾谷 優子, 上水 明治, 岸 貴之, 井上 飛鳥, 巻出 久美子, 青木 淳賢, 広川 貴次,大和田 智彦
Organizer
日本薬学会第136年会
Place of Presentation
パシフィコ横浜(神奈川県・横浜市)
Year and Date
2016-03-28
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[Presentation] Structural Expansion of the Lipid Ligand Lysophosphatidylserine Based on the Model of Hydrophobic Binding Pocket of G-protein-coupled Receptor GPR34/LPS12015
Author(s)
佐山 美紗, ジョンセジン, 中村翔, 井久保仁也, 尾谷優子, 上水明治, 岸貴之, 井上飛鳥, 巻出久美子, 青木淳賢, 広川貴次, 大和田智彦
Organizer
第43回構造活性相関シンポジウム・第10回薬物の分子設計と開発に関する日中シンポジウム
Place of Presentation
新潟日報メディアシップ 日報ホール(新潟県・新潟市)
Year and Date
2015-09-29
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