2014 Fiscal Year Research-status Report
[1,n]-双極子活性種の発生法の開発と合成反応への展開
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25460015
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 道子 広島大学, 大学院医歯薬保健学研究院, 准教授 (30379888)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 有機合成 / 三員環化合物 / 開環反応 / 環化反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
1,n-双極子前駆体となる電子求引性基を有する三員環化合物の開裂条件の検討を行った.昨年度中に三員環上にエステル基を有するethyl 2-((diethoxyphosphoryl)methyl)cyclopropane-1-carboxylateをLDAで処理すると中程度の収率で開環体が得られることが明らかになったので,本年度は,ホスホリル基をスルホニル基,シアノ基に変換した基質も併せて検討を行った. スルホニル基を有する基質をアミド塩基であるLiHMDSで処理したところ,目的の開環体がE-選択的に86%の収率で得られた.そこで,塩基で処理した後に求電子剤としてケイ皮酸エチルを添加したところ,目的の多官能性五員環成績体が34%の収率で得られた.さらに興味深いことに,dimethyl 2-benzylidenemalonateを求電子剤として用いた場合は,スルホニル基を持たない五員環化合物が74%の収率で得られた.これは,五員環が生成した後にスルホニル基のα位のアニオンがエステル部分を攻撃してビシクロ[3.2.0]ヘプタンとなり,その後スルホニル酢酸エステルの脱離が起こった結果と考え,現在中間体の別経路での合成など,反応機構を明らかにするための検討を行っている. シアノ基を有する基質もLiHMDSによって容易に開裂して開環体が得られた.さらにdimethyl 2-benzylidenemalonateを反応させると,スルホニル基を有する基質よりも化学収率は低いものの同一の環化体が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
電子求引性基としてエステル基を有する三員環化合物をアミド塩基で処理することで効率よく開環反応が起こることを明らかにし,さらに適当な求電子剤を加えることで良い収率で多官能性の五員環化合物を得ることに成功した.求電子剤の種類によっては予期せぬ反応を起こすものもあり,反応機構的にも興味深いものであり今後の展開が期待される.このことから一定の成果をあげることができたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
スルホニル基,シアノ基,エステル基などを有する三員環化合物を原料とする五員環形成反応を体系的に検討し,適用範囲を明らかにする.また,反応機構を詳細に検討する.さらにイミニウムもしくはホスホニウム基を有する基質から1,4-双極子化学種を発生させる検討も併せて行う.
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