2014 Fiscal Year Research-status Report
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25460022
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Research Institution | Showa Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
田村 修 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30257141)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オキシム / ニトロン / アシル化 / 分子内付加環化 / ラジカル環化 / O-シリルオキシム |
Outline of Annual Research Achievements |
1)Boc2Oにより促進されるωーアルケニルオキシムの分子内付加環化反応の開発 昨年度までに、以下のことが分かっていた。 1. 分子内にオレフィンを有するオキシム誘導体ジtert-ブチルジカルボナート(Boc2O)を反応させると、窒素原子がBocで保護された分子内付加環化体が収率良く得られること。 2. Boc2O存在下におけるオキシムの分子内付加環化反応は、N-Bocニトロンを経由すること。 しかし、次の問題点が残っていた。 1. 本反応には、オキシムの酸素原子がアシル化されて進行する脱離反応によりニトリルを与えるという副反応が存在すること。 2. 本反応に使用できるアシル基はBocのみであったこと。 上記の問題点を解決するために、アシル化剤を検討した。その結果、既存のアシル化剤では、ジアルキルジカルボナート型のものが唯一目的の反応を起こすことが分かった。目的の反応を進行させるには、オキシムのOH基がフリーの状態で、窒素原子のみをアシル化する必要がある。そこで、HSAB原理を利用し、酸素原子よりsoftな窒素原子を選択的にアシル化するために、アシル基の脱離基をsoftな硫黄原子とすることした。検討した結果、2-メルカプトピリジンを脱離基とするアシル化剤が目的に適うことが明らかとなった。アシル化剤を開発したことにより、Boc基だけでなく、様々なカルバメート系の保護基を用いた分子内付加環化反応を行うことが出来るようになった。また、これまでに、収率の低い基質の反応の収率を改善することができた。 2)オキシム誘導体へのラジカル付加反応を基盤とする含窒素骨格構築法の開発 ωーアルキニル-O-シリルオキシムに4-tert-ブチルベンゼンチオールとAIBNを反応させるラジカル環化反応は、対応するO-ベンジルオキシムのものよりも優れていることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に以下のことを明らかにできた。 1)アシル化により促進されるωーアルケニルオキシムの分子内付加環化反応の開発において、Boc2Oに換わる新たなアシル化剤、2-ピリジルチオ基を脱離基として有するアシル化剤を見いだした。これにより、収率の向上、他のアシル基の利用が可能になった。 2)オキシム誘導体へのラジカル付加反応を基盤とする含窒素骨格構築法の開発において、我々が使用しているO-シリルオキシムは対応するO-アルキルオキシムよりも常に良い収率を与えることを見いだした。
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Strategy for Future Research Activity |
1)アシル化により促進されるωーアルケニルオキシムの分子内付加環化反応の開発 今後、光学活性なアシル化剤を用いる分子内不斉付加環化反応を試みる。その後、論文にまとめる。 2)オキシム誘導体へのラジカル付加反応を基盤とする含窒素骨格構築法の開発 O-シリルオキシムを用いたラジカル環化反応を論文にまとめる。 3)α,βー不飽和オキシム誘導体を用いる付加環化反応 オキシム類は対応するカルボニルと比較して電子供与性が高い。この性質から、α,βー不飽和オキシム類は、α,βー不飽和カルボニル化合物とは逆の位置選択性で付加環化反応が進行することが期待される。実際に、先行する実験で位置選択性が逆転することを見いだしている。付加環化体の脱オキシム化により元のα,βー不飽和カルボニル化合物の付加環化体とは相補的な位置化学を有する付加環化体が得られる。この反応を一般化する。
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