2014 Fiscal Year Research-status Report
ポリマーゲル機能の制御を鍵とした酸化反応システムの開発
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25460027
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化反応 / 触媒 / 高分子 / イオン液体 / 有機ニトロキシルラジカル / イオン性ポリマー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、機能性ポリマーゲルの合成とポリマーゲル特性を活かした酸化反応システムの開発研究の実施である。昨年度の研究では、酸化反応に有効な有機反応場を与えることができる機能性ポリマーゲルの設計を行い、陽イオン性環境を持つポリアクリルアミド(陽イオン性ポリマーゲル)を見出した。平成26年度の主要な研究内容は、(1)陽イオン性ポリマーゲルを用いる酸化反応系の設計と(2)新規ポリマーゲルの創出と反応場としての評価・解析の実施であり、以下にその成果概要を示す。 (1)酸化反応触媒として有機ニトロキシルラジカルであるTEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl)を選択し、陽イオン性ポリマーゲルを用いるアルコール類の酸化反応系の開発を試みた。イオン性ポリマーゲル中にアニオン部位を持つTEMPOを導入したところ、有機溶媒中や水中で有機反応場を与えることができ、共酸化剤としてヨードベンゼンジアセテートや次亜塩素酸ナトリウムが使用可能な固相触媒として働いた。反応後は容易に生成物から分離でき、再利用可能であった。また、酸素を共酸化剤とする酸化反応系の開発を試み、亜硝酸塩や酸化酵素であるLaccaseを助触媒として添加する反応系を見出した。さらに、TEMPOの代わりにNHPI(N-hydroxyphthalimide)も使用可能であり、Xanthene等のベンジル位の酸素酸化反応への適用に成功した。 (2)陽イオン性ポリマーゲルは触媒として使用できる触媒種がアニオン性に限られていた。本法に適用可能な触媒種の選択肢を拡張するため、アニオン性・両性部位を持つポリマーゲル合成と反応場評価を行った。その結果、スルホン酸塩部位を有する陰イオン性ポリアクリルアミドゲルが銅塩等のカチオン性触媒種を安定化することを見出し、芳香族酸化的ハロゲン化反応系への適用に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の研究計画内容は、平成25年度で見出したポリマーゲルを反応場とした酸化反応システムの構築であった。当初の計画通り、市販のTEMPO触媒を使用した場合よりも高反応活性を発揮する酸化反応システムの構築に成功し、酸素を用いる反応系やリサイクル型反応系に適用できることを明らかにした。さらに、有機溶媒中の反応に適したポリマーゲル(主鎖=直鎖状アクリルアミド)と水中の反応に適したポリマーゲル(主査架橋状アクリルアミド)も導出した。また、複数の触媒(助触媒との組み合わせ)を用いるハイブリッド型反応系への展開できることも明らかになり、新たな機能性ポリマーゲルの候補として陰イオン性ポリマーゲルを見出し、次年度計画しているポリマーゲルを用いる酸化反応の応用研究(複数の触媒や複数のポリマーゲルを組み合わせて使用する反応系の創出)を展開するための必要な基礎的研究成果が得られた。以上より、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画している研究内容は、(1)複数の触媒種を組み合わせて活用するハイブリッド型酸化反応システムの創生、(2)複数のポリマーゲルを用いる多機能性の反応場設計と酸化反応系への適用、(3)本酸化反応システムの実用性の評価研究の実施である。(1)では、各触媒種として、有機分子触媒(有機ニトロ基シルラジカル,超原子価ヨウ素試薬等)、金属触媒(銅塩, 金属酸化物塩等)、酵素触媒(Laccase, Lipase, SanCat-R等)を選択し、これらを組み合わせたハイブリッド型酸化反応系の創生を目指す。(2)では、平成26年度研究で見出した陰イオン性ポリマーゲルに加え、温度応答性ポリマーゲルとフルオラス性ポリマーゲルも併せて合成し、各ポリマーゲル中における触媒種の挙動制御法の導出を行い、(1)の知見を活用した酸化反応系の開発を行う。(3)では、本研究で開発した酸化反応システムの実用使用法を検証するために、高分子粒径の最適化、高分子成形加工法の工夫、セミバッチ式反応系への適用について検討を加える。
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Research Products
(15 results)