2015 Fiscal Year Annual Research Report
ポリマーゲル機能の制御を鍵とした酸化反応システムの開発
Project/Area Number |
25460027
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
濱本 博三 名城大学, 農学部, 准教授 (40365896)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 酸化反応 / 触媒 / 高分子 / イオン液体 / 有機ニトロキシルラジカル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の主目的は、機能性ポリマーゲルの合成とポリマーゲル特性を活かした酸化反応システムの構築をおこない、本システムの活用により酸化反応触媒の高活性化・触媒の効果的な回収と再利用を可能にすることである。昨年度までの研究では、酸化触媒安定化能をもつ高分子ゲルの合成に成功し、有機ニトロキシルラジカルであるTEMPO(2,2,6,6-tetramethylpiperidine 1-oxyl)触媒反応が効率良く進行することを見出した。平成27年度の研究内容は(1)TEMPO-超原子価ヨウ素ハイブリッド触媒系の開発と(2)相間移動型酸化触媒反応系の開発である。その成果概要を以下に示す。 (1)機能性ゲルとしてTEMPOを組み込んだイオン性高分子(IP-TEMPO)を用いる酸化反応系において、 超原子価ヨウ素試薬(PhI(OAc)2)を共酸化剤として用いた場合に市販のTEMPOより高い活性を示したが、反応後等量のヨードベンゼン(PhI)が副生した。超原子価ヨウ素試薬の触媒的利用を可能にするために、イオン部位を持つヨウ素試薬をIP-TEMPOに組み込んだハイブリッド型高分子の調製を行った。本高分子を用いると、生成物から容易に除去できる水溶性共酸化剤(オキソンや次亜塩素酸ナトリウム)を用いる酸化反応が効率良く進行することを明らかにした。 (2)臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)等の界面活性剤を用いると水溶性酸化剤を使用する酸化反応が可能になるが、反応後の生成物の分離やTBABの除去が問題となる。(1)の結果より、イオン性高分子(IP)が固体型界面活性剤としてはたらくことが示唆されたので、水溶性酸化剤を使用する酸化反応におけるIPの利用について検討した。その結果、IPは水溶性酸化剤を使用するカルコンのエポキシ化、ナフトールのカップリング反応において固体型界面活性剤としてはたらき、反応後、容易に生成物と分離・回収し、再利用できた。
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