2013 Fiscal Year Research-status Report
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25460028
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hyogo University of Health Sciences |
Principal Investigator |
宮部 豪人 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (10289035)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
甲谷 繁 兵庫医療大学, 薬学部, 講師 (00242529)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ラジカル / 触媒 / 光触媒 / 有機合成 / 合成反応 |
Research Abstract |
現在、“ラジカル種”は、有機合成分野において注目を集めている化学種であるが、その発生には化学量論量以上の試薬を用いるなど、環境への負荷も大きく、有機合成への利用という観点から解決すべき問題が多く残されている。本年度は、ラジカル反応の“触媒化”を達成する目的で、「酸化的ラジカルプロセス」と「還元的ラジカルプロセス」を同一反応系内で共存させる反応の開発を試みた。具体的には、酸化剤としても還元剤としても働く“光触媒”と“光エネルギー”を活用して、新しい「酸化-還元融合型触媒サイクル」の開発を行った。 不均一系光触媒であるTiO2を用いた研究では、芳香族ケトン類の還元やアルコール類の酸化をモデル反応として、TiO2を染料(dye)で修飾した可視光応答型TiO2触媒系の開発を行った。いくつかの染料とTiO2の組み合わせを検討し、可視光応答型TiO2触媒の耐久性などを評価した。 また、均一系触媒である遷移金属光触媒(Ru触媒)を用いた研究では、可視光(LEDランプ)照射による励起種の発生を利用し、触媒的なパーフルオロラジカルの発生を検討した。さらに、発生したパーフルオロラジカルを用いたラジカル付加-閉環反応を行った。本研究では、Ru触媒が水に可溶である点に注目し、水溶媒中での触媒的なラジカル反応の開発につなげた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
TiO2を用いた研究では、計画通りに、染料(dye)で修飾した可視光応答型TiO2触媒系の開発を行った。いくつかの染料との組み合わせを検討したが、触媒の耐久性などに問題が残るため、次年度以降も、より耐久性が高いと考えられる染料との組み合わせを検討していく必要がある。無修飾のTiO2の活性化にはUV照射を必要とするため、可視光で活性化する染料修飾TiO2の開発は意義深く、芳香族ケトン類の還元のような有機反応に利用できた点は大きな進歩と言える。 また、遷移金属光触媒(Ru触媒)を用いた研究では、計画通りに、触媒的なパーフルオロラジカルの発生に成功し、触媒的なラジカル酸化-還元反応系を開発できた。最も注目すべき成果は、水溶媒中でも目的のラジカル反応が進行する点であり、環境に調和した反応の開発研究に展開できた。
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Strategy for Future Research Activity |
TiO2を用いた研究では、有機合成反応に利用できる可視光応答型TiO2触媒系の開発を進めていく。TiO2と組み合わせる染料としては、より耐久性が高い考えられる染料との組み合わせを検討する。具体的には、官能基を持たない染料の方が、高い耐久性を有すると考えられるため、染料の構造に着目しながら検討を進めて行く。 遷移金属光触媒(Ru触媒)を用いた研究では、反応の詳細な検討と反応機構解析を行う。本反応には、励起種(dye*)が酸化剤あるいは還元剤として働く「二つの触媒サイクル」が考えられるため、その二つの触媒サイクルの可能性を検討していく。特に、ラジカル種、試薬、スカベンジャーの酸化還元電位などを調べ、主要な触媒サイクルを解明する。 また、新たに、均一系触媒の研究として、Rhodamine Bなどの有機染料系化合物と可視光を用いた触媒的ラジカル反応の開発研究にも着手する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
Ru触媒などいくつかの試薬類は高額であったが、安価な原料から基質合成を行うなどの工夫をしたため、少額程度の次年度使用額がでた。 次年度は、新たに、Rhodamine Bなどの有機染料系化合物を用いた研究も進めるため、それらの研究で使用していく。
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Research Products
(5 results)