2015 Fiscal Year Annual Research Report
新規の応答機構によるインスリン放出ナノカプセルの開発
Project/Area Number |
25460031
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 勝彦 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80400266)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 機能性薄膜 / マクロカプセル / インスリンDDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではフェニルボロン酸(PBA)が過酸化水素によって分解する反応とグルコースオキシダーゼによる酵素反応を組み合わせることで、糖尿病患者の血糖値であるグルコース濃度が200 mg/dL程度で自発的にインスリンを放出するナノ薄膜およびナノカプセルを作製することを目的に研究を行った。 前年度に得られた結果をもとに、フェニルボロン酸が25%程度修飾されたポリアリルアミンとポリビニルアルコールを組み合わせることで交互累積膜法によりグルコース応答ナノ薄膜を調製した。この薄膜は調製条件の最適化により、生理条件下(pH7.4、37℃)において10 mM以下のグルコースに対しても鋭敏な分解応答が確認できた。また、この薄膜へのインスリンの固定化に成功した。さらに、このナノ薄膜を微粒子上に被覆する、もしくは薄膜被覆後に微粒子を溶解除去することで様々な構造のナノカプセルの調製を試みた。微粒子としてナノ~マイクロメートルサイズのポリ乳酸ビーズや炭酸カルシウム粒子などを使用し、薄膜やナノカプセル内でのインスリンの分布についての評価を水晶振動子ミクロバランス法や紫外可視分光法により行った。また、原子間力顕微鏡での観察も行った。インスリンは中性条件において負電荷であるため正電荷を持つポリアリルアミンに静電気力により吸着していることが示唆された。これらのナノ薄膜やナノカプセルの生理的条件におけるグルコース応答性やインスリン放出挙動の調査を行った結果、糖尿病患者の血糖値である200 mg/dL程度のグルコース刺激に対してインスリンの放出が確認できた。
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