2014 Fiscal Year Research-status Report
膜貫通ヘリックス間相互作用の一分子ダイナミクス計測:アミノ酸配列・脂質組成の影響
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25460034
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢野 義明 京都大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (60402799)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 膜貫通ヘリックス / 一分子計測 / 膜タンパク質フォールディング |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続きジスルフィド架橋した2量体膜貫通ヘリックスの合成と一分子蛍光エネルギー移動測定を行った。平行型に配向固定したホスト膜貫通ヘリックス((AALALAA)3ではコレステロール存在下でも会合が見られなかったため、前年度の逆平行型で会合が見られた結果と併せて、ジスルフィド法により2つのヘリックスの相対配向を制御できることが確かめられた。次に代表的な膜中ヘリックス会合モチーフであるGXXXGをホストの中心部位に導入した膜貫通ヘリックスを合成し。平行型会合を調べた。POPC中で、ホスト配列が会合を示さないのに対して、GXXXGヘリックスではサブ秒オーダーの会合ー解離揺らぎが見られた。コレステロール添加によってこの会合は見られなくなったことから、GXXXGモチーフとステロールが直接相互作用する可能性が考えられたが蛍光ステロールであるでヒドロエルゴステロールを用いた実験では選択的相互作用は見られなかった。従ってコレステロールの作用は間接的なものであり、GXXXGにより安定化される2量体はコレステロールが安定化する2量体と異なる構造を持つと考えられる。またGXXXGモチーフは逆平行型会合も駆動する事が明らかになった。これらの結果は代表的な膜貫通会合モチーフGXXXGにより促進される会合の動的安定性を計測した初めての例であり、粘度の高い膜環境でも迅速なダイナミクスが見られうる事を示すことが明らかになった。重要な創薬標的である膜受容体を含む膜タンパク質構造安定性原理の理解に役立つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ジスルフィド結合によるヘリックス二量体の配向制御が可能になったことで、より詳細な解析が行えるようになった。また代表的な膜中ヘリックス会合モチーフであるGXXXGの持つ駆動力の一分子蛍光測定法による解析について、かなりの進展が見られた。2回膜貫通ヘリックス同士の自己会合や他の会合モチーフを測定していく上での基盤技術をほぼ確立できた。
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Strategy for Future Research Activity |
2回膜貫通ヘリックスに関して、無細胞合成で合成する手法を確立し蛍光標識、一分子FRET測定を行う。またSer残基、Pro残基を導入したヘリックスを合成し会合を調べる。非対称組成を持つリポソーム中でのヘリックス会合も一分子FRET測定する。
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Causes of Carryover |
見積額と納入額が異なり誤差が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度分と併せて一分子計測関連試薬を購入する。
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Research Products
(4 results)