2014 Fiscal Year Research-status Report
電気化学センサーを用いた薬物作用のin situモニタリング
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25460036
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Research Institution | Yasuda Women's University |
Principal Investigator |
勝 孝 安田女子大学, 薬学部, 教授 (40112156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井上 剛 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (40370134)
加藤 久登 就実大学, 薬学部, 助手 (70639228)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | センサー / アセチルコリン / 海馬 / 乳頭体上核 / クロリン系光増感剤 / 光不活性化 / 膜透過 / ライソシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度得られた研究成果は以下の通りである。 1.昨年度の研究実施状況報告書に記載した微小化・高感度化させたアセチルコリンセンサーに関して、時間応答性を検討した。その結果、センサーの応答速度は50ミリ秒以内であり、既存の測定法に比較しても良好であった。次に微小化したアセチルコリンセンサーを用いて、脳内アセチルコリン濃度のin situ測定を試みた。記憶・学習に重要な領域であり、てんかん発作の好発部位でもある海馬に着目し、覚醒マウスの海馬にアセチルコリンセンサーを設置した。海馬への投射部位として知られる乳頭体上核を抑制すると、海馬アセチルコリン濃度が上昇することを見出した。すなわち、乳頭体上核から海馬へは、アセチルコリン性神経伝達が存在することが明らかとなった。 2.構造類似の一連のクロリン系光増感剤の細菌に対する光不活性化作用を、膜透過性亢進作用、呼吸阻害、膜電位変化の観点から、それぞれカリウムイオンセンサー、酸素電極、テトラフェニルホスホニウムセンサーを用いて検討した。その結果、クロリン系光増感剤は、これまで検討してきたポルフィリン系色素と同様に、細菌膜に対して膜透過性亢進や呼吸阻害を引き起こし、膜電位を消失させることで細菌を不活性化させることが明らかとなった。また、カイコを用いたアッセイ法から見出された新規抗生物質ライソシンの作用機序の解明にカリウムイオンセンサー法を適用した。その結果、ライソシンは、細菌のエネルギー生産に関わる電子伝達系の補因子として利用されるメナキノンと相互作用して細菌細胞質膜の透過性変化を引き起こし、抗菌作用を発現することが明らかとなった。 3.その他、グルコースセンサーの高感度化を過酸化水素の電気分解を促進させる触媒探索の観点から進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.微小化・高感度化させたアセチルコリンセンサーを用いて、脳内アセチルコリン濃度変化を「その場で」定量することができた。 2.さらに、センサー法は、様々な色素の光不活性化作用機構の解明や膜作用性薬物の抗菌作用発現機構の解明に応用できることを示した。
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Strategy for Future Research Activity |
開発したアセチルコリンセンサーを用いて、脳内アセチルコリン濃度変化を詳細に検討する。さらに、色素全体の光不活性化機構や膜作用性薬物の作用機構の解明のためにセンサーの応用研究を進めていく。また、グルコースや乳酸センサーの高感度化も並行して進めていく。
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Causes of Carryover |
物品費の金額調整ができず、僅かな未使用額(82円)が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、物品費に使用する。
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