2013 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴法を用いたNO動態に基づく潰瘍性大腸炎制御機序の解明
Project/Area Number |
25460037
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安川 圭司 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80372738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / 大腸炎 |
Research Abstract |
まず、生体計測ESR/ニトロキシルプローブ法を用いて、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS) 飲水5, 7 日目にマウス大腸内活性酸素(ROS) 産生を低侵襲計測し、NO捕捉剤c-PTIO処置による影響を検討した。DSS誘発大腸炎は5%DSS(分子量5,000)を水道水に溶解し、自由に飲水させることで作成した。生体計測ESRでのプローブ剤は大腸炎モデルで最もROS 産生を鋭敏に捉えるcarbamoyl-PROXYL を用いた。大腸組織のiNOS発現、亜硝酸塩・硝酸塩はDSS飲水5日目に有意な増加が認められたことから、DSS飲水4日目よりc-PTIO処置を開始した。その結果、5日目と7日目に亢進したROS産生は、c-PTIO前処置により陰性対照群レベルにまで抑制された。 次に、Western blot法にて、Toll様受容体(TLR)4やNF-kB p65、iNOSの発現に対するNO阻害剤(アミノグアニジン、c-PTIO)やNO放出剤(NOC18)の影響を調べた。NOC18実験の際は、病態悪化のためDSS飲水4日目に濃度を2%に下げてNOC18処置を開始し、7日目にvehicle群と比較評価した。NO阻害剤処置によりTLR4発現やNF-kB p65核内移行、iNOS発現が抑制されたのに対して、NO放出剤処置によりvehicle群での発現上昇がさらに増加した。 さらに、免疫染色法にて、DSS7日目の大腸組織(凍結切片)におけるTLR4の発現部位を検討した。その結果、TLR4は主にマクロファージF4/80の浸潤部位に顕著な発現が認められた。 以上より、重度の大腸炎が発症するDSS7日目では、主にマクロファージでTLR4発現し、NOはTLR4-NF-kBシグナル経路の活性化および活性酸素産生を制御していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画である、磁気共鳴計測を用いた検討に加え、免疫染色法での組織学的検討、TLR4-NF-kB経路活性化に関与するタンパク発現のWestern blot法での検討について、ほぼ計画通りに遂行することができた。 よって、現在まで、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、NOとスーパーオキシドとの活性反応産物であるパーオキシナイトライトの関与を含め、TLR4発現制御過程やTLR4-NF-kBシグナル経路におけるニトロ化もしくはニトロソ化の関与を検討していく。 そのために、磁気共鳴法を活用して、大腸炎発症により産生する活性酸素に対するパーオキシナイトライトの関与やスーパーオキシド産生源としてのミトコンドリアの関与を検討しつつ、Western blot法や免疫染色法などの手法で、NOを介したTLR4発現上昇に関与する細胞やタンパクについて解明を進めていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定よりも安価に試薬等を購入でき、概ね計画通りに研究を遂行できたため、次年度使用額が発生した。 次年度では、磁気共鳴法でミトコンドリア活性阻害剤などの阻害剤を用いた実験やWestern blot法でのタンパク発現実験や免疫染色実験を行う予定である。それらの実験には比較的高価な試薬・抗体の購入が必要であるため、その購入に充当する計画である。
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