2014 Fiscal Year Research-status Report
磁気共鳴法を用いたNO動態に基づく潰瘍性大腸炎制御機序の解明
Project/Area Number |
25460037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
安川 圭司 九州大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (80372738)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 一酸化窒素 / 大腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、生体計測ESR法/ニトロキシルプローブ法やWestern blot法を用いて、重度の大腸炎が発症するDSS7日目で、NOがTLR4-NF-kBシグナル経路の活性化および活性酸素産生を制御することを明らかにした。しかし、実際にDSS誘発大腸炎マウスの大腸でNOが産生し、TLR4-NF-kBシグナル経路を活性化しているかどうかは不明であった。 そこで、ESR/スピントラップ法を用いて、DSS大腸炎マウスにスピントラップ試薬を投与後に大腸組織中のESR測定を行い、DSS大腸炎マウスの大腸組織でNOが産生していることを明らかにした。また、そのESR信号がTLR4阻害剤やNF-kB活性化阻害剤処置により有意に抑制されたことから、DSS大腸炎マウスの大腸で、NOはTLR4-NF-kBシグナル活性化に関与することを示した。 また、TLR4のシグナル活性化に必須であるCD14のタンパク発現を調べた結果、NO捕捉剤c-PTIO処置によりCD14発現が抑制されたのに対して、徐放性NO放出剤NOC18処置によりCD14発現がさらに増加したことから、NOはCD14の発現増強を介してTLR4-NF-kBシグナルの活性化に関与することを明らかにした。免疫染色法にて、CD14は主にマクロファージF4/80の浸潤部位において顕著に発現することを確認した。 マウス腹腔マクロファージRAW264.7細胞を用いて、低濃度のLPSを処置したRAW264.7細胞にNOC18を添加後のTLR4-NF-Bシグナル活性化を検討した結果、CD14やiNOS、核内NF-kB p65の発現はNOC18濃度依存的に増加し、TLR4阻害剤やNF-kB活性化阻害剤処置により抑制された。 以上より、DSS大腸炎マウスにおけるNOのTLR4-NF-kBシグナル活性化に、マクロファージが部分的に関与している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
磁気共鳴法を活用することで、DSS大腸炎マウスの大腸でNOが産生し、TLR4-NF-Bシグナル活性化に関与することを直接的に示すことに成功した。また、iNOSやCD14が発現するマクロファージがこの活性化に関与することを示唆する結果も得られ、ほぼ計画通りに遂行することができた。 よって、現在まで概ね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、DSS大腸炎マウスとRAW264.7細胞の両方で、NOのシグナル制御メカニズムについて、磁気共鳴法やWestern blot法、免疫染色法などを用いて、パーオキシナイトライトやスーパーオキシドの関与を含め、引き続き検討を行う予定である。
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Causes of Carryover |
今年度途中よりRAW細胞を用いて検討を行ったため、当初の予定よりも実験動物数を削減でき、試薬・器具類のコストも抑えつつ、概ね計画通りに研究を遂行できたため、次年度使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では、TLR4-NF-kBシグナル制御メカニズムをより詳細に調べるため、比較的高価な試薬・抗体や器具の購入をこれまで以上に必要とすることから、それらの購入に使用する計画である。また、これまでの成果を発信するための旅費や印刷費にも充当する計画である。
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Research Products
(3 results)