2014 Fiscal Year Research-status Report
グリオーマ癌幹細胞選択的遺伝子発現システムの構築による新規脳腫瘍治療戦略
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25460049
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
丸山 正人 関西医科大学, 医学部, 講師 (00399445)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
トリフォノフ ステファン 関西医科大学, 医学部, 助教 (30598173)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 癌幹細胞 / グリオーマ / スフェロイド |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は、ヒトグリオーマ由来細胞株U87MGにおいて、SP画分がほとんど存在しておらず、これらの細胞株から癌幹細胞を単離するためには、血清不含培地中で、単一細胞由来スフェロイドを形成させることが有用であることを示した。本年度は、まず、単一細胞由来スフェロイドの形成効率を詳細に解析した。癌幹細胞は生体内において、G0細胞周期に属することが知られている。そこで、培養細胞においても、癌幹細胞がある特定の細胞周期に依存して存在するのではないかと考え、フローサイトメーターを用いてU87MG細胞をG0期、G1期、S期、G2/M期に分画し、各画分の細胞を96 well プレート上で1 wellあたり1個となるようにソーティングを行い、単一細胞由来スフェロイドの形成効率を調べた。その結果、in vitroでは、S期及びG2/M期に由来する細胞から、スフェロイドが効率よく形成されることが示唆された。さらに、形成されたスフェロイドを継代培養して増殖させ、14種類の癌幹細胞クローンを樹立した。樹立したクローンにおける既知のグリオーマ癌幹細胞マーカー遺伝子 (Sox2, Nestin) の発現をRT-PCR法で調べた結果、クローン間で発現量のばらつきが見られた。また、各クローンの増殖速度をDoubling timeにより検討した結果、32-86時間と多様であった。以上のことから、U87MG細胞は、複数種の癌幹細胞が混在した状態であり、シングルセルソーティングによりクローン化することで、これらの癌幹細胞を厳密に区別できることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、当初予定していたSP (Side Population) 画分が、U87MG細胞に存在しなかったことから、癌幹細胞を取得する方法を再検討しなければならなくなった。しかしながら、初年度において、single cell derived sphere法を確立し、本法が癌幹細胞クローン株の樹立に有用であることを明らかにできたため、今年度は、順調に進展した。single cell derived sphere法による癌幹細胞クローン株の樹立効率等について詳細に解析し、細胞周期との関連についても知見を得ることができた。また、SP画分は、細胞数が少ないことから、安定した細胞数の癌幹細胞を繰り返し得ることが難しいが、継代培養できるクローン株を樹立したことで、今後の研究を飛躍的に進めることが可能となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、樹立した癌幹細胞クローンの腫瘍原性について調べるため、マウス皮下に移植後の腫瘍形成能について検討する。さらに、癌幹細胞に特異的に発現する分子マーカーを網羅的に解析するため、DNAマイクロアレイを用いた検討を行う予定である。
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