2013 Fiscal Year Research-status Report
癌の光線力学療法の効果を十分発揮させるためのトレーサブル光増感製剤の開発
Project/Area Number |
25460053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
竹下 啓蔵 崇城大学, 薬学部, 教授 (70175438)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MRI / 造影剤 / ナノ粒子製剤 / 血中滞留性 / 多糖 |
Research Abstract |
本年度は、粒子状MRI造影剤の合成とMRI撮像について、各々条件検討を行った。 デキストラン(平均分子量4万)とdiethylenetriamine-N,N,N',N",N"-pentaacetic acid, dianhydride(無水DTPA) の反応により、キレート試薬DTPAを結合したデキストランを合成し、次いでDTPAにガドリニウム(III)をキレートさせて、粒子状MRI造影剤を合成する方法について、反応条件を検討した。デキストランのグルコース単位に対する無水DTPAのモル比を0.1~2.0の間で変化させて合成したところ、モル比が2において最終的なガドリニウムの結合率がグルコース単位に対して約0.5 となった。モル比1以下ではガドリニウムの結合率がきわめて低かった。また、ガドリニウムのキレート操作で、溶液のpHが約9を超えると、ガドリニウムイオンがデキストランに非特異的に結合して不溶性の沈殿を生じることがわかった。合成法については、さらに検討の余地があり、無水DTPAの反応時間や触媒量についても検討する必要がある。 MRI造影剤の血中滞留性をコンパクトMRI装置で評価するに当たり、撮像の条件検討を行った。ガドリニウムのDTPAキレート水溶液を段階希釈して作成した模擬試料について、プロトンの縦緩和時間(T1)強調画像を撮像し、輝度の濃度依存性・直線性と撮像時間の2点を主眼に検討した。その結果、汎用される勾配エコー法よりも高速スピンエコー法が最も撮像に適していることがわかった。輝度はガドリニウムDTPAキレートの濃度が約1 mmol/L まで濃度に従いほぼ直線的に増加したが、それ以上では頭打ちとなった。最大の輝度は、勾配エコー法では濃度0のときの約2倍であったが、高速スピンエコー法では約5倍と高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
MRIで十分なT1短縮効果を得るにはできるだけ多くのガドリニウムをデキストランに結合させる必要がある。今回、そのための反応条件を検討したところ、十分量のガドリニウムを結合させる条件を決定するのに手間取り、進捗が若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
問題解決について:ガドリニウム結合率が低い原因として、デキストランにDTPAを導入する段階でDTPAの二酸無水物を用いているため、DTPAの2つのカルボキシル基がデキストランとの結合に使われ、ガドリニウムのキレートが不十分となっている可能性が考えられる。そのため、反応時間を短くする、あるいは触媒として持いるN,N-dimethyl-4-aminopyridine の割合を減らす等の方策をとる。 十分なガドリニウム結合率が得られた時点で、模擬試料でMRI造影効果を確認する。ガドリニウム結合デキストランを健常マウスに投与して血中滞留性を、担がんマウスに投与してがん集積性を、それぞれMRIで評価する。一方、デキストランへの光増感剤の結合法の確立を経て、ガドリニウム結合デキストランへ光増感剤を導入し、MRIによりトレーサブルな光増感剤を創成する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ガドリニウム結合デキストラン合成の最適条件の決定に手間取り、本格的な動物実験が遅れたため使用額が減少した。 平成26年度は、動物実験に繰越額を充てていく。
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Research Products
(5 results)