2015 Fiscal Year Research-status Report
癌の光線力学療法の効果を十分発揮させるためのトレーサブル光増感製剤の開発
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25460053
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
竹下 啓蔵 崇城大学, 薬学部, 教授 (70175438)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MRI / 造影剤 / ナノ粒子製剤 / 体内動態 / 多糖 |
Outline of Annual Research Achievements |
ラット(Wistar, 約200 g)にイソフルラン麻酔下でGd-Dex を9.8μmol Gd相当量を静脈内投与した。対象として、マグネビスト(Gd-DTPA)の50μmol Gd相当量を静脈内投与した。時間を追って採決し、限外ろ過でデキストランに結合したものと遊離したもの(Gd-DTPA)に分け、ICP発光分析によりGdを定量した。Gd-Dexを投与したラットではデキストラン結合Gdの減衰は二相性の一次反応に従った。遊離したGdの濃度は1/10以下であった。Gd-Dexの体内動態を2コンパートメントモデルで解析したところ、速度定数はα=0.058/minとβ=0.010/min、分布容積はV1=12.4 mLとV2=6.2 mLと算出された。一方、マグネビストは循環血中で単純に一次反応に従って減少し、速度定数はk=0.0414/minであった。使用したラットの血漿量は6.4 mLと推定される。Gd-Dexの中心コンパートメントにおける分布容積(V1)はその約2倍であり、投与後急速に分布する部位はおおかた血漿中であると推定される。また、血漿中のGd-Dexの分解を調べたところ、一次反応速度定数は0.00947/min であり、βの値と近かった。これらのことから、循環血中の遅い方の消失は分布の遅い組織へのGd-Dexの分布と言うよりは、Gd-Dexの加水分解によるものと推定される。マウスにおける造影剤の体内分布をMRIのT1強調画像で調べた。マグネビストは投与直後腎臓に集まり、90分でほとんどが膀胱に排泄された。一方、Gd-Dexは投与直後に腎臓および肝臓に集まり、徐々に減少した。90分間での膀胱への排泄はマグネビストに比べてわずかであった。以上より、Gd-Dexは投与後主として循環血中に分布し、加水分解されて徐々に尿中に排泄されることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度合成法確立に手間取ったため、全体的に進捗が若干遅れた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、Gd-Dexが腫瘍に集積するか否かをMRI画像で確認すると共に、光増感剤を結合したGd-Dexを得る。光増感剤は親水基であるカルボキシル基を多くもつクロリンe6を用い、デキストランにアミノ基を導入したのちにこれを縮合剤の存在下でアミド結合させる方法を採る。合成したクロリンe6結合Gd-Dexの光増感作用を確認する。また、研究の最終年度に当たるため、腫瘍モデルマウスにクロリンe6結合Gd-Dexを投与し、MRIによる腫瘍集積と光照射による治療効果を確認する。
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Causes of Carryover |
造影剤合成に必要な試薬は前年度に購入したことと進捗状況の遅れで、繰り越す結果となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度は繰越額を光照射装置の購入並びに試薬や動物の購入に充てる。
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