2014 Fiscal Year Research-status Report
線虫セロトニン作動性神経細胞HSNにおけるプレシナプス形成分子機構の全体像
Project/Area Number |
25460058
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
多留 偉功 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (30533731)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 神経細胞 / シナプス |
Outline of Annual Research Achievements |
シナプスは神経細胞の細胞間接着構造の一種であり、神経情報伝達の基盤である。神経伝達物質の放出を担うプレシナプス構造は、予定部位に輸送された中心構成分子群が安定化・組織化されて形成される。本研究は、無脊椎実験動物である線虫C.elegansのセロトニン作動性神経細胞をモデルとし、プレシナプス形成分子機構の全体像の理解に近づくことを目指している。 プレシナプス形成の中心分子の一つであるSYD-1に関して、機能発現にはRhoGAP様ドメインが必須なことを、これまで部分変異体の解析によって示してきた。しかしこのドメインは酵素活性を持たないことが示唆され、作用機序が不明であった。遺伝学的・生化学的手法を用いた解析の結果、今回新たにこのドメインが線虫RacファミリーGTPaseの一つであるMIG-2と結合し、生体内でMIG-2の機能を抑制的に制御しうることを明らかにした。 プレシナプスの中心領域には、CAZと呼ばれるアダプター分子の一群が網目状に密集し、その基盤の上に機能分子が組織化される。これまでに二つのCAZ分子が、プレシナプス中心部位への電位依存性チャネルの局在を、冗長的に制御することを示してきた。今回、これらのCAZ分子自身のプレシナプスへの局在が、輸送モーター分子であるキネシンに依存的であることを新たに明らかにした。二つのCAZ分子は、チャネルの輸送過程ではなくその後のアンカリングや安定化に寄与することが示唆される。 これらプレシナプス形成に関わる分子群の多くは種を越えて高度に保存されており、本研究の知見は、シナプス異常が関わる脳発達障害や神経変性疾患の病態生理機構の解明および新規治療法の開発の基盤となることが期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
線虫C.elegansセロトニン作動性神経細胞におけるプレシナプス形成に関して、中心分子SYD-1のRacGTPase MIG-2との結合と抑制的な機能、CAZ蛋白質のプレシナプス局在化機構等について、新規知見が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
線虫C.elegans神経細胞のプレシナプス形成に関して、RacGTPaseファミリーの作用機序を検証し、またチャネル局在制御に関わるCAZ分子群の相互作用を明らかにする。
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Causes of Carryover |
主に実験に用いる消耗品類の年度使用量が当初予定から異なったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物の飼育に必須である培地やプラスチック器具、分子生物学・生化学実験に用いる試薬代、観察に用いる顕微鏡のランプ等の消耗品代、国内外学会において研究発表と情報収集を行うための旅費、研究成果発表の経費などの用途に使用する計画である。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Cytoplasmic Fragment of Alcadein α Generated by Regulated Intramembrane Proteolysis Enhances Amyloid β-Protein Precursor (APP) Transport into the Late Secretory Pathway and Facilitates APP Cleavage2015
Author(s)
Norio Takei, Yuriko Sobu, Ayano Kimura, Satomi Urano, Yi Piao, Yoichi Araki, Hidenori Taru, Tohru Yamamoto, Saori Hata, Tadashi Nakaya, Toshiharu Suzuki
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Journal Title
Journal of Biological Chemistry
Volume: 290
Pages: 987-995
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Quantitative analysis of APP axonal transport in neurons: role of JIP1 in enhanced APP anterograde transport2014
Author(s)
Kyoko Chiba, Masahiko Araseki, Keisuke Nozawa, Keiko Furukori, Yoichi Araki, Takahide Matsushima, Tadashi Nakaya, Saori Hata, Yuhki Saito, Seiichi Uchida, Yasushi Okada, Angus C. Nairn, Roger J. Davis, Tohru Yamamoto, Masataka Kinjo, Hidenori Taru, Toshiharu Suzuki
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Journal Title
Molecular Biology of the Cell
Volume: 25
Pages: 3569-3580
DOI
Peer Reviewed
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