2014 Fiscal Year Research-status Report
膜リン脂質 飽和脂肪酸鎖による小胞体ストレス応答活性化機構の解明
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25460060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 望 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (50451852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リン脂質 / 脂肪酸 / 小胞体ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに、異常タンパク質の蓄積時にはIRE1は高度に多量体化(クラスター化)し活性化するのに対し、膜脂肪酸の飽和化時にはクラスター化せずに活性化することを見出している。今年度は、IRE1のリン酸化サイトと相互作用タンパク質の探索を行った。まず、IRE1欠損MEF細胞にレトロウイルスでTAP(tandem affinity purfication)タグを付加したIREを導入し、刺激依存的な活性化がみられる細胞株を確立した。この細胞株においても、異常タンパク質の蓄積によりIRE1のクラスター化がみられる一方、膜脂肪酸の飽和化時にはIRE1のクラスター化はみられなかった。またIRE1のリン酸化状態をphos-tag SDS-PAGEで検討したところ、異常タンパク質の蓄積時と膜脂肪酸の飽和化時ではバンドシフトのパターンが異なることが判明した。この細胞株からIRE1をTAP法により精製し、IRE1のリン酸化状態とIRE1結合分子の探索をLC-MS/MSにより行ったところ、IRE1の新規リン酸化部位と新規結合タンパク質が明らかとなった。現在、同定したリン酸化サイトを変異させたとき、およびIRE1結合タンパク質を発現抑制したときの、IRE1活性化への影響を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
小胞体ストレス応答分子IRE1のTAP法による精製系を確立し、IRE1の新規リン酸化部位と新規結合タンパク質が明らかとなった。これらの結果を基点に、膜リン脂質 飽和脂肪酸鎖による小胞体ストレス応答活性化機構の解明が更に進むことが期待され、本研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
リン酸化に違いがみられる知見が得られたので、キナーゼ阻害剤ライブラリーを用いて、膜脂肪酸の飽和化時のIRE1の活性化を特異的に抑制する化合物を探索する。またIRE1の結合分子をTAP法とは異なるBirA法によりさらに探索する。
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