2015 Fiscal Year Annual Research Report
膜リン脂質 飽和脂肪酸鎖による小胞体ストレス応答活性化機構の解明
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25460060
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
河野 望 東京大学, 薬学研究科(研究院), 講師 (50451852)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リン脂質 / 脂肪酸 / 小胞体ストレス応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでに膜脂肪酸の飽和化による小胞体ストレス応答(UPR) の活性化に関わる小胞体膜タンパク質ERUMS1(ER-membrane protein required for UPR induced by membrane lipid saturation )を見出している。ERUMS1を発現抑制した細胞では、飽和脂肪酸によるUPRの活性化が著しく抑制される一方、ツニカマイシンによるUPRには影響しない。このERUMS1を発現抑制した細胞の性状解析をおこなったところ、脂肪滴の形成が亢進していることを見出した。そこでトリグリセリド合成酵素を発現抑制したところ、ERUMS1の発現抑制細胞でみられた飽和脂肪酸によるUPR活性化の抑制が解除された。このことから、ERUMS1の発現抑制により、飽和脂肪酸のトリグリセリドへの取り込みが亢進し、膜脂肪酸の飽和化が抑制された結果、UPRが抑制されたことが示唆された。 またこれまでにUPRセンサータンパク質のひとつであるIRE1(inositol-requiring 1)を細胞からタンデムアフィニティー精製することにより、IRE1の新規結合タンパク質を複数同定している。その中の1つであるANXA2を発現抑制したところ、飽和脂肪酸によるIRE1依存的な遺伝子発現誘導が抑制された。一方、ANXA2の発現抑制はツニカマイシンによるIRE1依存的な遺伝子発現誘導には影響しなかった。このことから、ANXA2が飽和脂肪酸によるIRE1の活性化に関わることが示唆された。
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