2013 Fiscal Year Research-status Report
ダウン症マウスモデルの脳発達遅滞および記憶学習障害の分子基盤解明と炎症亢進
Project/Area Number |
25460077
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
石原 慶一 京都薬科大学, 薬学部, 講師 (80340446)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ダウン症 / プロテオミクス解析 / マイクロアレイ解析 / 脳発達 / 記憶学習 |
Research Abstract |
ダウン症モデルであるTs1Cjeマウスは,胎児期において脳発達遅滞がみられ,かつ成体期において記憶学習障害がみられる。我々は,これらの異常表現型の関連分子を同定することを目的として,網羅的発現変動解析を行った。まず,Ts1Cjeマウスの胎生14.5日目におけるマイクロアレイ解析を行うことで,以下の成績を得た。① Ts1Cjeマウスの胎児脳で殆どのトリソミー領域遺伝子のmRNA発現量は野生型に比し,1.5倍の増加を示した。② 非トリソミー遺伝子のmRNA発現変動もみられ,Ts1Cje胎児脳において炎症・免疫関連分子のmRNAの増加,および発達関連分子のmRNA発現減少がみられた。また,プロテオミクス解析を行うことで,Ts1Cje胎児脳において4つの発現増加および1つの発現減少がみられる合計5つのタンパク質を同定した。これらのタンパク質の発現変動はmRNAの発現変動を伴わないこともリアルタイムPCRにより明らかとした。また,同定したタンパク質は細胞増殖関連分子であったことから,Ts1Cjeマウス胎児脳における細胞増殖についてin vivo BrdUラベリング法により検討したところ,Ts1Cjeマウスの基底核原基における細胞増殖の増加を明らかとした。次に,Ts1Cje成体脳 (3ヶ月齢) におけるタンパク質発現変動についてプロテオミクス解析にて検討した。海馬,小脳および線条体といった脳部位別に検討したが,2次元電気泳動解析においてTs1Cjeマウス成体脳で発現変動がみられるタンパク質を検出することはできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りである。プロテオミクス解析の結果から発展させたTs1Cjeマウス胎児脳における細胞増殖の知見は当初予定していなかったが非常に興味深い知見がえられたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,成体脳の解析においてプロテオミクス解析レベルでは発現変動が見られなかったことから,マイクロアレイ解析を行うことを予定している。海馬における転写産物量をTs1Cjeおよび野生型マウス間で比較検討することで,Ts1Cjeマウスの記憶学習障害関連分子に迫る。また,野生型およびTs1Cjeマウス胎児脳における炎症・免疫関連細胞の分布を免疫染色やフローサイトメトリー解析といった生化学的解析により明らかにすることで,Ts1Cjeマウス脳発達遅滞のメカニズム解明を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
特別な理由は無い。次年度の使用予定の試薬を購入する場合,残額では購入不可能であるため。 物品費に加算して使用する。
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Research Products
(4 results)