2014 Fiscal Year Research-status Report
uPA/uPARによる炎症性破骨細胞分化制御機構を用いた骨破壊の治療法の開発
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25460078
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
菅野 陽介 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (40416178)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | uPAR / uPA / osteoclasts / bone / inflammation |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、関節リウマチ、歯周病、癌の骨転移などによる炎症が、過度の骨吸収・骨破壊を引き起こし、骨粗鬆症のような病態をもたらすことが大きな社会問題になっている。しかしながら炎症が引き起こす骨破壊進行の詳細なメカニズムは依然として明らかになっておらず、高齢化社会が進む日本においてその病因究明は急務である。炎症によって引き起こされる骨破壊の詳細なメカニズムを明らかにすると共に炎症性骨破壊に対する治療法を開発することを目的として本研究に着手し、本年度はuPA/uPARによる炎症性破骨細胞分化制御機構を明らかにするために研究を行った。2013年度にuPAが活性化するAMPKシグナルが、炎症性破骨細胞分化を抑制していることを明らかにしたが、そのAMPKの活性化はAktシグナルによって抑制されることが報告されている。そのため、uPA/uPARがAktシグナルに与える影響についてuPAR強発現細胞を用いてその解析を行った。その結果、uPARが強く発現している細胞が、Aktの活性化を促進することを明らかにした。以前、線維素溶解系因子uPARによる炎症性骨破壊発症制御機構の解明(日本学術振興会 科学研究費助成事業 (若手研究 B)2011-2012)にて、uPARの強発現細胞が、炎症性破骨細胞分化を促進することを報告したが、その細胞にAktの阻害剤を添加するとuPARの強発現によって促進された炎症性破骨細胞分化は抑制されることがわかり、uPARが促進する炎症性破骨細胞分化にはAktシグナルが関与していることを明らかにした。また、uPARが誘導するAktシグナルは中和抗体によるintegrinの機能抑制によって抑制され、uPARがintegrinを介してAktの活性化に関与していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究実施計画」の”平成26年度以降の計画”のほぼ半分程度の計画を達成したため、おおむね順調に研究が進行していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性骨破壊をuPA/uPARがどのように制御しているかをuPAR中和抗体及びuPA/uPAR阻害ペプチドを用いて、in vitro及びin vivoで検証する。
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Causes of Carryover |
平成25年度時に、それ以前購入した試薬及び消耗品を使用することに予算を繰り越すことが出来た。その繰越金を平成26年度に使用したため、結果として次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
uPA/uPARによる炎症性骨破壊制御機構を解明するためにin vivo及びin vitroの実験を予定しており、その実験に必要なLPS、抗体、細胞分化用試薬、阻害剤、阻害ペプチド、中和抗体などの研究試薬及び細胞培養用消耗品などを購入予定である。また得られた成果を学会などに報告するための旅費としての使用を検討している。
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