2013 Fiscal Year Research-status Report
極長鎖脂肪酸伸長酵素Elovl3の肥満制御における機能と分子機構の解明
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25460079
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤森 功 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70425453)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
肥満をはじめとする代謝異常疾患の制御には多くの因子が関与しており、核内受容体であるPPARγは脂肪細胞分化制御のマスター因子であり、様々な遺伝子の発現を調節することにより肥満進展を制御している。核内受容体はリガンド依存的な転写調節因子であり、PPARγの内在リガンドとしては脂肪酸や我々がこれまでに解析してきたプロスタグランジンが知られているが、生体におけるPPARγのリガンドの機能は分かっていない。 我々は、白色脂肪細胞においてElovl3(Elongation of very long chain fatty acid)が合成するC18:1およびC20:1の極長鎖脂肪酸がPPARγによる転写を活性化するという相互の制御機構が存在することを明らかにした。また、ヒト内臓脂肪組織由来初代培養細胞においても同様の制御機構が存在することを見出した。また、マウスElovl3に対するポリクローナル抗体を作成したが、特異性が高くなかったため、新たにペプチド抗体の作製を行った。新たに作製した抗体はElovl3を検出でき、また特異性は向上した。さらに、脂肪細胞特異的Elovl3発現マウス作製のためのトランスファーベクターの構築はほぼ終了し、培養細胞を用いて発現を確認している。確認でき次第、トランスジェニックマウスの作製を開始する予定である。加えて、白色脂肪細胞におけるElovl3遺伝子の発現調節機構の解析を進め、新たな転写調節機構として長鎖脂肪酸の関与を見出した。さらに詳細な解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施予定であった抗体の作製は終了し、使用条件の検討も進んでいる。さらに、脂肪細胞特異的にElovl3を高発現するマウスの作製については作製用のベクターの構築がほぼ終了している。さらに、ヒト内臓組織由来初代培養細胞におけるElovl3遺伝子の発現解析も進行中である。白色脂肪細胞におけるElovl3遺伝子の転写活性化において、長鎖脂肪酸を介した新たな転写調節機構を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
Elovl3抗体の使用条件の検討はさらに進める。脂肪細胞特異的Elovl3発現マウスを作製し、肥満制御におけるElovl3の機能について解析を進める。さらに、白色脂肪細胞におけるELovl3遺伝子の発現調節機構を明らかにする。Elovl3遺伝子の発現調節に関わるシス配列に結合する転写調節因子を同定する。また、同定した転写調節因子を脂肪細胞で発現させ、Elovl3の発現変化を調べる。一方、同定した転写調節因子をコードするmRNAに対するsiRNAを合成して細胞に導入することにより、Elovl3の発現および極長鎖脂肪酸の産生に与える影響を調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
遺伝子改変マウス作製のための費用であったが、作製途上で、支払いをしていないため。 今年度中に作製を終了する予定であり、作製終了時に費用を支払う。
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