2014 Fiscal Year Research-status Report
極長鎖脂肪酸伸長酵素Elovl3の肥満制御における機能と分子機構の解明
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25460079
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
藤森 功 大阪薬科大学, 薬学部, 准教授 (70425453)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 極長鎖脂肪酸 / 脂肪細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
肥満などの代謝異常疾患の制御には多くの因子が複雑に関与している。肥満制御において中心的な役割を果たす、核内受容体であるPPARγは様々な遺伝子の発現を調節することにより肥満進展を制御している。核内受容体はリガンド依存的な転写調節因子であり、PPARγの内在リガンドとしては脂肪酸や我々がこれまでに解析してきたプロスタグランジンであるΔ12-PGJ2や15-deoxy-Δ12,14-PGJ2が知られているが、生体におけるPPARγのリガンドの機能は分かっていない。 我々は、白色脂肪細胞においてElovl3(Elongation of very long chain fatty acid)が合成するC18:1およびC20:1の極長鎖脂肪酸がPPARγによる転写を活性化するという相互の制御機構が存在することを明らかにした。また、Elovl3はコレステロールや長鎖脂肪酸により発現調節されることを発見した。また、新たに作製したマウスElovl3に対するペプチド抗体の特異性を高めるための検出法を模索し、その方法を決定した。さらに、脂肪細胞におけるElovl3の機能解析を進めるために、CRISPR/Cas9法により、Elovl3遺伝子欠損脂肪細胞の作製に成功し、現在解析を進めている。加えて、CRISPR/Cas9法を用いた遺伝子破壊細胞を容易に単一細胞として単離する方法を開発した。ELovl3の脂肪組織特異的発現マウスは継続して作製している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度実施予定であった抗体の作製は終了し、使用条件の検討も終了した。さらに、脂肪細胞特異的にElovl3を高発現するマウスの作製は引き続き行っている。さらに、白色脂肪細胞におけるElovl3遺伝子の転写活性化において、コレステロールや長鎖脂肪酸を介した新たな転写調節機構を発見した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製したElovl3抗体を用いて免疫組織染色を行い、脂肪組織や他の組織におけるElovl3の局在と発現を調べる。脂肪細胞特異的Elovl3発現マウスを作製し、肥満制御におけるElovl3の機能について解析を進める。さらに、白色脂肪細胞におけるELovl3遺伝子の発現調節機構を明らかにする。Elovl3遺伝子の発現調節に関わるシス配列に結合する転写調節因子を同定する。また、同定した転写調節因子を脂肪細胞で発現させ、Elovl3の発現変化を調べる。一方、同定した転写調節因子をコードするmRNAに対するsiRNAを合成して細胞に導入することにより、Elovl3の発現および極長鎖脂肪酸の産生に与える影響を調べる。
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Causes of Carryover |
遺伝子改変マウス作製のための費用であったが、作製途上で、支払いをしていないため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
作製終了後に費用を支払う。
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