2013 Fiscal Year Research-status Report
細胞内小器官におけるドパミンD2L受容体活性化機構の解明
Project/Area Number |
25460090
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塩田 倫史 東北大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (00374950)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 浩司 東北大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90136721)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ドパミン D2 受容体 / PDGF 受容体-β / スプライスバリアント |
Research Abstract |
ドパミン D2 受容体は 7 回膜貫通型の G タンパク質共役型受容体であり、細胞内第 3 ループの 29 アミノ酸残基の有無により、D2 受容体 long アイソフォーム (D2L 受容体) と short アイソフォーム (D2S 受容体) のスプライスバリアントが存在する。本研究では、D2L 受容体アイソフォーム特異的な細胞内シグナル伝達系に着目し、研究を行った。D2L 受容体特異的 29 アミノ酸残基に結合するタンパク質を同定するため、GST-29AA を結合させたカラムにマウス脳 lysate を添加し、結合した抽出物を電気泳動した。その後、銀染色により特異的なバンドを同定し質量分析を行った。その結果、Rabex-5 が候補のひとつとして同定された。 Rabex-5 は初期エンドソームの形成に関与する低分子量 G タンパク質 Rab5 の GEF として知られている。興味深いことに、D2L 受容体を発現させた HEK293T 細胞にドパミン刺激を加えることで Rabex-5 の GEF 活性は増加した。Rab5 の活性化は、受容体型チロシンキナーゼの活性化に関与している。免疫ブロット法と免疫染色法より、ドパミン刺激により PDGF 受容体-β とその下流である Akt, ERK の持続的な活性化が見られ、D2L 受容体と PDGF 受容体-β は初期エンドソームに共局在した。また、それらの活性化はインターナリゼーション阻害剤である dynasore で阻害された。 in vivo における機能的な役割を検討するため、中枢神経特異的 PDGF 受容体-β 遺伝子欠損マウスを用いてドパミン D2 受容体遮断薬ハロペリドールによるカタレプシー反応を解析した。 PDGF 受容体-β 遺伝子欠損マウスではハロペリドールによるカタレプシー反応が有意に減弱した。本研究により、D2L 受容体は Rabex-5 を介した PDGF 受容体-β とのクロストークにより、 D2 受容体シグナル伝達系の一部を制御していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
D2L 受容体特異的 29 アミノ酸残基に結合するタンパク質として、Rabex-5 が同定された。 また、ドパミン刺激により PDGF 受容体-β とその下流である Akt, ERK の持続的な活性化が見られ、D2L 受容体と PDGF 受容体-β は初期エンドソームに共局在した。さらに、 in vivo において、中枢神経特異的 PDGF 受容体-β 遺伝子欠損マウスを用いてドパミン D2 受容体遮断薬ハ PDGF 受容体-β 遺伝子欠損マウスではハロペリドールによるカタレプシー反応が有意に減弱した。これらのことは、D2L 受容体は Rabex-5 を介した PDGF 受容体-β とのクロストークにより、 D2 受容体シグナル伝達系の一部を制御していることを示しており、D2L 受容体の新しいシグナル伝達系を提示できた。
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Strategy for Future Research Activity |
成体マウス脳におけるD2L 受容体とD2S 受容体の局在解析を行う。これまでの免疫組織化学的解析から D2L 受容体は主に辺縁系、線条体中型有棘ニューロンの後シナプスに発現し、 D2S 受容体は自己受容体として黒質-線条体系ドパミンニューロンの神経終末に発現していることが示唆されている。しかしながら、それらの詳細な脳内局在に関しては未だ明らかとされていない。そこで、本研究では、in situ hybridization 法と抗 D2LR 抗体, 抗 D2SR抗体を用いて12 週齢の成体 C57BL系マウスにおける免疫組織化学的解析を行い、その詳細な局在を明らかにする。さらに、免疫電子顕微鏡の手法を用いて D2L 受容体の細胞内小器官の局在が見られるか検討する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Aberrant CaMKII activity in the medial prefrontal cortex is associated with cognitive dysfunction in ADHD model rats.2014
Author(s)
Yabuki, Y., Shioda, N., Maeda, T., Hiraide, S., Togashi, H., Fukunaga, K.
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Journal Title
Brain Res.
Volume: 1557
Pages: 90-100.
DOI
Peer Reviewed / Acknowledgement Compliant
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