2013 Fiscal Year Research-status Report
ニコチンの意思決定に与える影響と創薬標的としてのニコチン受容体
Project/Area Number |
25460094
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
溝口 博之 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (70402568)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 意思決定 / ニコチン / 覚せい剤 / ニコチン受容体 |
Research Abstract |
ニコチンはタバコの主成分であり、日々の行動・意思決定に関与する認知、注意、作業記憶、動機づけ、予測、衝動性などの心理的過程に影響する。それゆえ、依存症という副作用を持つ反面、精神症状を鎮静化する作用を併せ持つこと(ニコチンの二面性効果)から、創薬標的としてのニコチン受容体の有用性が指摘されている。そこで本研究では、ニコチンが意思決定に与える影響と創薬標的としてのニコチン受容体の意義について検討する。今年度は、当研究室で確立した小動物用ギャンブル試験法を用いて、ニコチンの意思決定への影響について行動薬理学的に検討した。ヒトの意思決定の検査に用いられている Iowa gambling task 課題を参考にして、8 方向放射状迷路を用いた小動物用ギャンブルテストを開発した。ハイリスク・ハイリターンとローリスク・ローリターンの確率で大報酬(7 個の餌ペレット)もしくは罰(キニン入り餌ペレット)が与えられる 2 つのアームを設定し、各アームの選択率から意思決定を判断する。正常動物は高い確率でローリスク・ローリターンアームを選択することを確認している。ニコチンの効果を見るために、ラットにニコチン0.3-0.6mg/kgの用量で投与した。急性投与の場合、ギャンブル試験の前に投与した。慢性投与の場合、ニコチンを1日1回30回投与することで、ニコチン依存ラットを作製した。その結果、ニコチンを急性あるいは慢性投与したラットはコントロールラットと比較して、意思決定・選択行動に大きな変化はなかった。このことから、来年度は、意思決定異常モデル動物に対するニコチンの効果について検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先行論文によれば、ニコチンは意思決定異常を誘発すると報告されていたが、本研究タスクにおいては、そのような異常が見られなかった。用量の問題は残されているが、予想に反した結果だといえる。この理由の一つに、個体間のばらつきが挙げられる。現在、再現性が良くなるように行動解析システムを見直し、新たに構築できるように進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
我々が独自に発見した覚せい剤誘発意思決定異常モデルラットに対するニコチンの効果について検討する。またその時の、脳内の責任部位についても検討する。
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Research Products
(4 results)