2014 Fiscal Year Research-status Report
カチオンチャネル制御によるミクログリア活性化調節機構の解明と病態応用
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25460098
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白川 久志 京都大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (50402798)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ミクログリア / ミトコンドリア / TRPV1 / 活性酸素種 / MAPキナーゼ / エンドバニロイド / カプサイシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年はミクログリアの生理的な活性化機構に関与するカチオンチャネルとして、capsaicinや熱、endovanilloidにより開口するCa2+透過性カチオンチャネルであるTRPV1に焦点を当て、TRPV1開口を介したどのような細胞内シグナリングがミクログリア細胞機能に影響を及ぼすかについて検討した。はじめに、TRPV1選択的アゴニストであるcapsaicinをミクログリアに投与すると濃度依存的に走化性が増大されることが、ボイデンチャンバーを用いた評価法により明らかになった。この増大はTRPV1遺伝子欠損や、TRPV1遮断薬の共処置により完全に抑制された。次に免疫組織化学的手法を用いて検討したところ、ミクログリアのミトコンドリアにTRPV1の免疫陽性が確認された。そこでミトコンドリアに着目して検討したところ、capsaicin投与によりミトコンドリア内Ca2+濃度の上昇やミトコンドリアの脱分極が引き起こされることが明らかとなった。また、ATPによって細胞内Ca2+濃度を上昇させ、その後定常状態に戻るまでの時間を観察すると、野生型ミクログリアではTRPV1欠損ミクログリアよりも有意に時間が短いことから、TRPV1活性化により細胞質内Ca2+がミトコンドリアに取り込まれることが示された。さらに、この走化性増強はミトコンドリア機能阻害薬、活性酸素種除去剤、p38阻害薬、JNK阻害薬の投与により抑制された。内因生TRPV1アゴニストである3種類のendovanilloid混合物や、過酸化水素自体の投与により、ミクログリアの走化性が増強されることも明らかになった。以上の結果より、ミクログリアにおけるTRPV1の活性化はミトコンドリアの脱分極を引き起こし、活性酸素種を産生させ、MAPKを介して走化性を向上させることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
In vivo病態モデルにおける実験に関しての遅れはあるものの、in vitro実験では成果が出ており、おおむね順調に進展していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivo病態モデルにおける実験に関して若干の遅れがあり、今後はin vitro実験のみならず、そちらにもしっかり注力して研究を遂行していく予定である。
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Causes of Carryover |
In vitro実験はおおむね順調に遂行できたが、比較的使用額が大きいin vivo実験系の確立や遂行に、本年もやや困難な点があったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度であり、予備検討の結果よりin vivo実験系の確実な遂行が期待できるため、前年度分も含め全て順調に使用できると想定している。
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