2013 Fiscal Year Research-status Report
Act1欠損マウスを用いた乾癬の病態解析と治療薬の薬効解析
Project/Area Number |
25460107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nihon Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
井上 俊夫 日本薬科大学, 薬学部, 准教授 (70458610)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浦丸 直人 日本薬科大学, 薬学部, 助教 (90424069)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 乾癬 / Traf3ip2/Act1 / IL-17 |
Research Abstract |
平成25年度はTraf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスの病変部位におけるサイトカイン類の発現解析を行った.これまでの検討で,松島らは(Matsushima et al. J. Immunol 2010),本モデル動物がアトピー性皮膚炎モデル動物になり得るとして,血清中のIL-2,IL-4,IL-6,IL-10,IL-12,IL-17,IFNγ,TNFαの濃度を測定し,IL-17が極端に高いことを報告している.IL-17は乾癬でも上昇することが知られているが,乾癬ではIL-18,IL-19,IL-20,IL-22, IL-24等の組織中での関与が明らかにされている.そこで、炎症局所におけるこれらサイトカイン類の発現解析を試みた.すなわち,Thサブセット関連分子(サイトカインおよび転写因子)として,Th1関連分子(IFNγ,IL-12), Th2関連分子(IL-4,GATA3), Th17関連分子(IL-17,STAT3,RORγt)およびTreg関連分子(IL-10,Foxp3)の発現についてreal-time PCRを用いて検討した.その結果,Th1,Th2およびTh17に関連するサイトカインmRNAの発現量の増加傾向が認められたが,中でもTh17に関連するIL-17A mRNAにおいて極めて高い発現亢進が認められた.一方で,Th2関連分子であるGATA-3の発現亢進は認められなかった.さらに,乾癬との関連が指摘されているサイトカインのうちIL-22およびIL-24 mRNAも顕著な発現亢進が認められた.現在のところIL-10 ,T-bet,RORγtについては未測定なので断片的な結果であるが,以上の結果はTraf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスの皮膚病変はアトピー性皮膚炎ではなく,乾癬の病態に極めて類似していることを強く示唆するものであった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内業務とカリキュラム改訂に伴い講義科目の負担が一時的に増加し,当初予定していたエフォートと異なる状態になったため.
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Strategy for Future Research Activity |
まず最初に,残されたTh関連分子のmRNA発現状態を早急に確認する予定である.さらに,引っ掻き行動,耳介やfootpadの厚さ等の指標とサイトカインのmRNAの発現量との関連についても検討を行う. その後,Traf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスを用いて,このStat3の関与を確認する目的で,病変部位のリン酸化STATをウエスタンブロット法にて確認する.過剰に発現していることが確認できた場合は,Stat3特異的阻害薬であるSTA-21(Ochromycinone)やJAK-STAT経路を阻害するTofacitinibを用いてTraf3ip2/Act1遺伝子欠損マウスにおける乾癬様症状の薬効評価を実施する予定である.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度末に学会発表を予定し,その支出分を確保していたが,研究の進行状況が遅れたたことによる発表を見合わせたことと,年度末の学内業務の関係で学会参加も含めて見送ったため. 平成26年度は進行の遅れを取り戻し、学界発表を行う予定である。
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