2013 Fiscal Year Research-status Report
酸化ストレスセンサーDJ-1を分子標的とした神経変性疾患治療薬の創製
Project/Area Number |
25460109
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
北村 佳久 京都薬科大学, 薬学部, 准教授 (60195295)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | DJ-1タンパク質 / DJ-1結合化合物 / 神経変性疾患 / パーキンソン病 / アルツハイマー病 / 神経保護 / 神経再生 / 多能性幹細胞 |
Research Abstract |
パーキンソン病・アルツハイマー病・認知症などの神経変性疾患の最大のリスクファクターは老化です。現在、日本は超少子・高齢化社会になりつつあります。そして、若者の労働力不足、医療費経済、神経変性疾患の重篤患者に対する介護は深刻な社会問題となっています。このため、健康で、介護が必要でなく、労働力として期待される高齢者の生長・育養が必須の課題です。つまり、1)高齢者で発症する神経変性疾患の患者の数を減らす、あるいは発症を遅らせる(予防)薬、2)発症しても症状が進行しないようにする(進行遅延)薬などの新規治療戦略や治療薬の開発が望まれています。 本年度は、DJ-1タンパク質がヒト骨髄幹細胞に比較的豊富に存在することを見出しました。そして、ヒト骨髄幹細胞をロテノン長期投与により作成したパーキンソン病モデルマウスに移植すると黒質線条体系のドパミン神経の再生が起こることを明らかにしました。 in silicoバーチャルスクリーニングにより見出したCompounds-A, -B, -23を6-hydroxydopamine (6-OHDA)を用いて作成したパーキンソン病モデルラットの黒質へのマイクロインジェクションにより、ドパミン神経細胞死が抑制される傾向にあることを見出しました。現在、ロテノンを用いて作成したパーキンソン病モデルマウスを用いて保護作用を示すかどうか検討中です。このように、次年度以降の研究に大変役に立つ意義深い研究成果を得ることができました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DJ-1タンパク質がヒト骨髄幹細胞に比較的豊富に存在することを見出し、パーキンソン病モデルマウスへの移植によりドパミン神経の再生が起こるという新知見が得られました。これにより、DJ-1タンパク質が神経保護のみならず神経再生にも関与する可能性が示唆されます。このため、in silicoバーチャルスクリーニングによりDJ-1結合化合物として見出していますCompounds-A, -B, -23の有効性が期待できます。現在、パーキンソン病モデルラットの黒質へのこれらの化合物のマイクロインジェクションにより、ドパミン神経細胞死が抑制される傾向があることを見出しております。このように、順調に研究成果が得られつつあります。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた研究成果を基に、平成26年度は、引き続き6-OHDAを用いて作成するパーキンソン病モデルラットの黒質マイクロインジェクションによる作用について実験します。さらに、ロテノンの長期投与(56日間)により作成するパーキンソン病モデルマウスにおいて、DJ-1結合化合物の末梢投与(腹腔内投与など)による作用についても解析します。 平成25年度から持ち越す研究費はありません。 平成26年度の研究費は、神経変性疾患モデル動物の作成、行動薬理学的、神経化学的、組織化学的解析のための研究試薬などの消耗品を購入する。また、論文発表のための英文校正費、成果発表のための旅費にも充てる予定です。
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