2015 Fiscal Year Research-status Report
栄養飢餓耐性解除に基づく膵臓がん治療薬リード化合物の探索
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25460117
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
手塚 康弘 北陸大学, 薬学部, 教授 (70236975)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 膵臓がん / 栄養飢餓耐性解除 / 和漢薬 / 活性成分 / 抗がん剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成25年度に行った栄養飢餓状態選択的細胞毒性試験において,ヒト膵臓がんPANC-1細胞およびPSN-1細胞に対して強い活性を示した「石松子」(PC50, 36.3 μg/mL,17.9 μg/mL)について,核磁気共鳴(NMR)スペクトルおよび赤外吸収(IR)スペクトルのデータを検討した結果,主成分が脂肪酸関連化合物であることを明らかにした。そこで,ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC-MS)による解析を行い,hexadecanoic acid, (9Z)-hexadecenoic acid, (9Z,12Z)-octadecadienoic acid (= linoleic acid), 11-octadecenoic acid, 8-hydroxyoctadecanoic acid が含まれると推測した。現在,標品を入手しての同定を試みている。 一方,同様に,ヒト膵臓がんPANC-1細胞およびPSN-1細胞に対して栄養飢餓耐性選択的細胞毒性を示した「延命草」(PC50, 35.1 μg/mL,43.0 μg/mL)について,70%エタノールエキスの各種クロマトグラフィによる分離を検討し,酢酸エチル可溶性分画から6化合物(isothymusin, 4-hydroxybenzoic acid, pedalitin, 3,4-dihydroxybenzoic acid, caffeic acid, rosmarinic acid)を,ブタノール可溶性分画から3化合物(3,4-dihydroxybenzoic acid, rosmarinic acid, scutellarein)を単離した。現在,その他の化合物の単離・同定を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題では,平成25年度のスクリーニングで強い活性を示した「穿心蓮」「石松子」「延命草」の活性成分の同定を行う予定であった。「穿心蓮」の活性成分については予定通りに同定を行ったが,「石松子」「延命草」については一部の成分を同定した段階であり,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
「石松子」については,入手した標品による構成脂肪酸の同定を行った後,栄養飢餓状態選択的細胞毒性を測定することで活性成分に関する知見を得ることを考えている。 また,「延命草」に関しては,未分離の成分の分離・同定を進めるとともに,栄養飢餓状態選択的細胞毒性を測定することで活性成分に関する知見を得ることを考えている。
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Causes of Carryover |
当初の予定では平成27年度が最終年度になるため,「石松子」「延命草」の成分単離,構造決定,活性測定を終える予定であった。しかし,計画が予定通り進行しなかったために,使用した消耗品費が少なくなり,次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に予定している「石松子」「延命草」の成分単離,構造解析,活性測定等に要する消耗品の購入,および,情報収集を目的とする学会(生薬学会)への参加費・旅費に使用する予定である。
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