2014 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎の安全な寛解維持療法に対する漢方薬の有効性
Project/Area Number |
25460123
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
橋本 真一 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (40530217)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高見 太郎 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (60511251)
山本 直樹 山口大学, 大学教育機構, 講師 (90448283)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 大建中湯 / 潰瘍性大腸炎 |
Outline of Annual Research Achievements |
潰瘍性大腸炎に対する新たな治療薬は近年使用可能となっているが、免疫抑制的な治療が多く、潰瘍性大腸炎は恒例発症も珍しくないため、安全な寛解維持療法が望まれている。大建中湯は乾姜、人参、山椒および麦芽糖粉末を含有する水溶性エキス剤であり、臨床的には術後の麻痺性イレウスへの有効性が報告されており、広く用いられているが、動物実験レベルではCrohn病に対する炎症抑制効果や腸管の癒着防止効果に関する報告がある。昨年度はDextran sulfate sodium(DSS)モデルの作成と、大建中湯の抗炎症効果について検討し、摘出大腸長やHb値、組織学的スコアにて大建中湯投与群にて保護的な結果となり、臨床にも応用可能な有用なデータが得られた。本年度は、サイトカインについて検討したが、大建中湯投与の有無で特定のサイトカインの遺伝子発現量に差がみられた。また、少量DSSの長期投与群を作成し、大建中湯の長期予後について検討した。DSS単独投与群が平均生存期間43.8日に対して、DSSに大建中湯を併用した群は平均生存期間は75.8日であった。ログランク検定でp=0.038と長期に生存する傾向を認めた。以上のことから、潰瘍性大腸炎に対する寛解維持療法として、大建中湯は有用である可能性も示唆され、今後、トランスレーショナルリサーチとして、寛解維持療法を主眼としたスタディーデザインを構築していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
短期的な検討だけでなく、DSSの量を調整する事により、慢性炎症モデルの作成に成功し、長期予後に関する検討に着手できた。長期予後に関する検討に関しても、前述のように概ね良好な結果であり、潰瘍性大腸炎に対する大建中湯の有効性を検討する上で、有用なデータが得られたと考えている。 RTーPCRの検討も行っているが、今後、再現性について検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスレーショナルリサーチに向けた、スタディーデザインの作成と論文作成。
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Causes of Carryover |
DSS実験腸炎モデルの作成や、大建中湯の定期投与に関して系を安定化させるのに、もう少し時間を要すると考えていたが、順調に実験が進んでおり、試薬購入費等が抑えられた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
RT-PCRなどの遺伝子発現について検討し、大建中湯の作用メカニズムについても検討予定であるため、こちらに対する試薬の購入に充てたいと考えている。
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