2013 Fiscal Year Research-status Report
潰瘍性大腸炎の治療に有用な薬剤開発のための創薬シーズの提供
Project/Area Number |
25460129
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Iwaki Meisei University |
Principal Investigator |
松本 司 いわき明星大学, 薬学部, 教授 (00173906)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 潰瘍性大腸炎 / 酪酸 / 細胞死 / 結腸上皮細胞 |
Research Abstract |
研究計画に従い、酪酸により誘発される結腸上皮細胞死を指標とする評価系を用いて、生薬のメタノールエキスならびに生薬成分を対象に細胞死抑制物質の探索を開始した。すなわち、結腸上皮細胞株MCE301細胞の培養液に生薬エキスまたは生薬成分を添加し、2時間培養後、酪酸を添加し、さらに一定時間培養した後、細胞生存率をMTT法により生存率を求めた。生薬エキスは、入手した180種類の生薬をメタノールで抽出し、アッセイに供した。 平成25年度に実施した研究における成果としては、酪酸により誘発される細胞死をイソキノリン系アルカロイドに分類される化合物Coptisineが比較的低濃度(3 x 10-6 M)で抑制する活性を有することを見出した。既に、Berberineが細胞死を抑制する活性を有することを明らかとしているが、CoptisineはBerberineと同一の母核を有する類縁化合物であり構造活性相関の観点から興味深い。 この他、生薬の抽出エキスを対象にスクリーニングを行った結果、数種の生薬エキスに細胞死を抑制する活性が見出されている。26年度の研究計画に従い、今後、活性成分の抽出、精製・単離、構造解析を行う予定。潰瘍性大腸炎の治療薬開発につながるより優れたリード化合物を見出すため、生薬の抽出エキスを対象としたスクリーニングも継続する。 本研究成果によって、生薬エキス中には酪酸により誘発される結腸上皮細胞死をコントロールしうる成分の存在が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生薬の粗エキスを対象とした探索は終了していないが、数種の生薬エキスが細胞死を抑制する活性を有することを見出すことができたことから、おおむね順調に進展していると云える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、26年度は活性の認められた抽出エキスから活性成分の精製、単離を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
教授の退官などの理由で閉鎖される学内の他研究室より多量の試薬・消耗品の寄付があり、試薬類の購入が最小限に抑えられた。また、購入予定であった生薬類のサンプルについては、専門の薬局より無償で供与されたため購入せずに、スクリーニングサンプルが調製できたため。 26年度は研究計画に従い高額な機器を購入する予定であり、機器の購入に充当する予定。
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