2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25460131
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
羽田 紀康 慶應義塾大学, 薬学部, 准教授 (70296531)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 糖脂質 / カイメン / 化学合成 / 抗腫瘍 / 海洋天然物 |
Research Abstract |
当研究室では細胞表層における複合糖質糖鎖の機能解明の一助として、下等動物より得られる糖脂質や糖タンパク質糖鎖の化学合成を目指してきた。本研究では、海洋生物の持つ新規な糖脂質の合成を目指している。海洋生物が生産する化学物質は、陸上生物由来の天然化学物質には見られない、新奇で多彩な化学構造と様々な生理活性の発現が期待されている。今回、特に海洋生物の中で、海綿とホヤに着目してこれらより見出された糖脂質を合成目標とした。今年度はカイメンの中で、Spheciospongia vesparia より見出されたAraβ1-6Galβ1-Cer 及び、Agelas dispar より見出された5種 (Galα1-2Galβ1-Cer 1, Glcα1-2Galβ1-Cer 2, Galfα1-3Galβ1-Cer 3, GalNAcα1-3Galβ1-Cer 4,GalNAcβ1-6(Galα1-2)Galβ1-Cer 5)の糖脂質の全合成を目指した。後者に関しては、糖脂質合成の鍵反応を単糖セラミド誘導体と次の糖との縮合に置き、ガラクトシルセラミドを合成後、ガラクトース供与体及びガラクトフラノース供与体を縮合することによりGalα1-2Galβ1Cer, Galfα1-3Galβ1Cerの二種類の糖脂質の合成を完了した。一方、ホヤの一種、Microcosmus sulcatusより見出されたGalβ1-4(Fucα1-3)Glcβ1Cer は、当研究室でこれまでに合成し、NO産生抑制活性を報告してきたカイメン由来の糖脂質GalNAcβ1-4(Fucα1-3)GlcNAcβ1Cer のアミノ糖部分が水酸基であるラクトースに置き換わった構造をとり、構造活性相関の観点から興味深く、合成目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Spheciospongia vesparia 及びMicrocosmus sulcatus 由来の糖脂質合成は完了し、学術雑誌に採用されたが、Agelas dispar 由来の糖脂質は、目標化合物の達成は糖脂質1と3の2種類にとどまった。これはガラクトース供与体の合成と、セラミド受容体の合成に多くの時間を費やしたため、残り3種の構成糖鎖の供給が追いつかなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、Agelas dispar 由来の糖脂質合成において、単糖糖脂質受容体が不足しているため、大量に原料供給を合成している。その後、非還元末端側のグルコースやガラクトサミン誘導体の合成を行い、糖供与体とし、立体選択的にグリコシド化する条件を検討する。さらに、別のカイメンより見出された糖脂質についても合成に着手する。
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Research Products
(9 results)