2015 Fiscal Year Annual Research Report
制御性T細胞への分化誘導を促進する天然化合物の探索と機能解析
Project/Area Number |
25460132
|
Research Institution | Musashino University |
Principal Investigator |
小谷 仁司 武蔵野大学, 薬学研究所, 助教 (10594640)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 制御性T細胞 / 天然物 / ジンコウ / 生薬 / サイトカイン / 癌 / 自己免疫疾患 / インターフェロンガンマ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は創薬を目指して、自己免疫疾患や慢性炎症を生じる疾患(肥満・糖尿病・動脈硬化症など)における炎症性T細胞に対する抑制能を持つ制御性T細胞の分化を促進する天然由来化合物の探索とその機能解析を目的とし、生薬150種類のメタノール抽出エキスのスクリーニングを行った。その結果、分化誘導活性の強いものはあまり見つからず、弱く活性化するものが多く見られた。一方、大きく分化抑制を示す生薬エキスを2つほど見出したので、抑制活性を示す天然化合物の探索をすすめた。制御性T細胞は過剰の免疫を抑制することにより、その分化促進作用は自己免疫疾患の治療に有効であると考えられている。一方、その分化を抑制することは癌などにおいて、免疫を賦活化することにもつながり抗腫瘍活性を持つことが考えられる。本研究では制御性T細胞の分化抑制作用を持つ生薬エキスとして沈香を見出し、有機化学的な手法による活性成分の精製を行うとともに、抑制メカニズムの解析を行った。その結果、活性成分に関しては詳細な構造決定中であるが、そのメカニズムとして、NaiveT細胞の活性化およびIFNγの産生を見出した。現在、この活性化およびIFNγ産生に関わる詳細な作用点の解析を行うとともに、動物実験によりこの化合物の抗腫瘍活性の検討を進めている。本研究の発展として、活性成分の構造活性相関の検討を行い、この化合物をシード化合物として有機合成などにより修飾・最適化をおこない、実際の臨床で使用される薬剤の開発につながることを期待している。
|