2015 Fiscal Year Annual Research Report
TRPCチャネル抑制アルカロイドを用いた創薬シードの創製
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25460140
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
金田 利夫 星薬科大学, 薬学部, 准教授 (70339521)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 血管弛緩 / 平滑筋 / 天然物 / TRPC |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、これまでアルカロイドを含む多くの天然由来化合物の生物活性について、ラット血管平滑筋標本を用いて解析してきた。これらの化合物の中には、血管内皮の存在に影響を受けず、ニフェジピンで電位依存性チャネルをブロックした後にも弛緩作用(収縮抑制)を示す化合物が複数存在した。これらの化合物は、平滑筋細胞の受容体作動型のカルシウムチャネル(ROC)に対して作用している可能性が考えられた。血管弛緩に関与するROCは複数知られているが、近年注目されるROCのチャネル機能をもつTRPCファミリータンパクについては、これまでのところ十分な特異性を持った阻害/促進剤は知られていない。そこで、本研究はROC、特にTRPCチャネルに対して作用する新規天然物を探索し、新しい創薬シードの創製を目指した。 TRPC6/アドレナリンα1受容体遺伝子の導入細胞を作製し、新しい評価系を構築した。これらの評価系を用いて、これまでに我々が単離した各種天然物、およびマレーシア/インドネシアで採取された植物のエキス/部分精製品を用いて、候補化合物が含まれる天然素材を探したが、直接的にTRPC6阻害作用を示す化合物は見出せなかった。TRPC3についてもTRPC6と同様の評価系を構築したが、現在までのところTRPC3に作用する候補物質も見つかっていない。 一方、フェニレフリン誘導血管収縮作用を抑制する天然物の中で、Calophyllum scriblitifoliumから得られたクロマノン類であるDecipic acid (DA)はニフェジピン処理後にも弛緩作用を示したことから、その作用機序を解析した。ラット平滑筋初代培養細胞において、DAは血管収縮に関与するMLCのリン酸化を抑制し、MLCのリン酸化を制御するMYPT1のリン酸化に変化を与えた。さらなる検討の結果、DA処理は平滑筋細胞内の細胞内においてAKT-PKA-MYPT1シグナルに関与し、血管弛緩作用を示すことが明らかとなった。
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