2015 Fiscal Year Annual Research Report
未来型トリテルペンの創出、及びトリテルペン高生産系の確立
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25460142
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Research Institution | Nigata University of Phermacy and Applied Life Sciences |
Principal Investigator |
渋谷 雅明 新潟薬科大学, 薬学部, 教授 (50170923)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | トリテルペン / 生合成 / ダイズ / ゲノム / ルペオール |
Outline of Annual Research Achievements |
トリテルペン骨格の多様性はトリテルペン合成酵素の機能に起因している。ダイズのゲノムには11種のトリテルペン合成酵素ホモログ(Gm1 - Gm11と命名)が存在する。これまで機能が同定されたものは1種(Gm1:β-アミリン合成酵素)にすぎない。これらのトリテルペン合成酵素の全ての生成物を明らかにすれば、ダイズに存在するトリテルペンの全ての骨格を明らかにすることができ、また、その中に新規トリテルペン骨格を見出せる可能性がある。なかでも、発現していない遺伝子(転写が行われていないという意味)の産物は新規トリテルペン生合成能を有する可能性が高い。本研究の目的の一つは未来型新規トリテルペンの創出であり、最終年度は、ダイズの機能未同定の10種のクローンのうち発現していないもの(Gm5)について機能を調べ、未来型新規トリテルペンの創出を試みた。まず、Gm5ゲノム遺伝子をクローニングした。得られた遺伝子は16個のイントロンを含んでいた。得られたゲノム遺伝子を鋳型に17種のPCRを行いエキソン部分に相当する17種のDNA断片を得た。得られたDNA断片をPCRにより連結し、イントロンのないmRNAに相当するcDNAを作り出した。このcDNAを酵母ベクターpYES2にクローニングした。構築したプラスミドをラノステロール欠損酵母株GIL77に導入し、発現を誘導し、酵母内に蓄積したトリテルペンをシリカゲルカラムクロマトグラフィーで単離した。各種スペトルを測定し得られた化合物の構造を決定した。得られた化合物は、既知物質のルペオールであった。本来の目的の未来型新規トリテルペンの発見とは異なるが、ダイズからルペオールの単離報告はなく、植物化学的探索研究からではなく遺伝子機能解析研究からダイズに存在する全トリテルペン骨格のうちの一つ骨格の同定に成功したことになる。
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