2013 Fiscal Year Research-status Report
肺アスペルギルス症の治療薬開発を目指した病原因子エラスターゼの阻害物質の探索
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25460143
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小森 由美子 名城大学, 薬学部, 准教授 (60162070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二改 俊章 名城大学, 薬学部, 教授 (80103266)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アスペルギルス / エラスターゼ / エラスターゼインヒビター |
Research Abstract |
エラスターゼ・インヒビター産生能のスクリーニングを実施するため、Aspergillus fumigatus 培養液よりエラスターゼの精製を行い、それを用いてエラスターゼ・インヒビター産生能の高いアスペルギルス属の菌株(A. nidulans, A. ustus, A. oryaze 他)の検索を行った。 エラスターゼ・インヒビターは、A. nidulans, A. ustus, A. oryaze の 3 菌種から精製することができた。また、既に報告している A. fumigatus 由来エラスターゼ・インヒビターである Asfin 産生遺伝子を導入した A. oryaze 株培養液より、比較検討実験のために Asfin を精製した。 精製したエラスターゼ・インヒビターの分子量は TOF-MS で測定し、一次構造はアミノ酸配列分析を実施中である。現在のところ、異なる菌種から得られたエラスターゼ・インヒビターは互いに異なる構造を有していることが明らかとなった。また Asfin とも異なる物質であることがわかった。これらエラスターゼ・インヒビターの物性や安定性についても現在検討中である。エラスターゼ阻害作用は、合成基質や生体由来基質に対するエラスターゼの作用をどの程度阻害するか、比較検討中である。 エラスターゼの培養細胞に対する傷害作用と、エラスターゼ・インヒビターの阻害作用については、ヒト由来臍帯静脈血管内皮細胞、肺動脈血管内皮細胞、気管支上皮細胞、微小気管支上皮細胞、肺胞上皮細胞を用いて、作用濃度と作用時間の検討を行い、血管内皮細胞に対する傷害作用が特に強いことを確認した。また傷害作用を受けた細胞については、蛍光染色を行い顕微鏡観察を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
精製酵素とインヒビターの量がまだ十分でないため、インヒビターの阻害機構に関する研究については、実施が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
実験を進めるために必要なエラスターゼとインヒビターをより大量に得るため、培養と精製を引き続き行う。 エラスターゼとインヒビターの結合様式、阻害機構について検討するため、表面プラズモン共鳴(Biacoreシステム)を利用する方法を検討し、さらにエラスターゼ・インヒビターのスクリーニング系が確立を目指す。 培養細胞を使用する実験系を利用した、エラスターゼの病原因子としての作用機構と、それに対するエラスターゼ・インヒビターの阻害作用を引き続き検討する。またエラスターゼをマウスに投与することにより作成した病態モデルに対するエラスターゼ・インヒビターの治療効果について検討を開始する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度の交付金は、ほぼ予定通りに使用したが、消耗品と旅費の支出額がやや少なかったため、若干の差額が生じた。 次年度使用額については、次年度の配分金(消耗品)と合わせて、消耗品購入に使用予定である。(細胞培養用試薬購入等)
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Research Products
(3 results)