2014 Fiscal Year Research-status Report
肺アスペルギルス症の治療薬開発を目指した病原因子エラスターゼの阻害物質の探索
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25460143
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
小森 由美子 名城大学, 薬学部, 准教授 (60162070)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二改 俊章 名城大学, 薬学部, 教授 (80103266)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アスペルギルス症 / エラスターゼ / エラスターゼインヒビター |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き Aspergillus 属真菌の産生するエラスターゼ分離精製を行い、新たに Aspergillus ochraceus、A. vercicolor の産生するエラスターゼを得た。 これまでに単離した A. fumigatus、A. flavus、A. nidulans、A. ustus、A. oryzae 由来エラスターゼとともに、その病原性を培養細胞(ヒト由来肺動脈血管内皮細胞、ヒト由来微小気管支上皮細胞)に作用させて用いて比較したところ、A. fumigatus、A. flavus、A. nidulans 由来のものは肺動脈血管内皮細胞に対して強い傷害作用(EC50_at 18 hr: 0.5-0.8μg/mL)を示したが、その他のエラスターゼの作用は約10分の1程度で、臨床的に重篤な侵襲型肺アスペルギルス症患者から分離される菌株としては A. fumigatus、A. flavus、A. nidulans が多いという結果とよく合致した。一方微小気管支上皮細胞に対する作用は A. fumigatus、A. flavus、A. nidulansy 由来酵素で(EC50_at 18 hr: 1.0-3.0μg/mL)、他のエラスターゼでは(EC50_at 18 hr: 2.5-10.0μg/mL)で、血管内皮細胞に対するほど大きな差は見られなかったことから、多くの菌種が気道侵襲型肺アスペルギルス症や慢性肺アスペルギルス症の原因となる可能性が示唆された。 遺伝子組み換えにより作成した A. fumigatus 由来エラスターゼインヒビター産生株から大量に生成した Asfin (AFUEI) について、各エラスターゼに対する阻害作用を確認したところ、病原性の強い A. fumigatus、A. flavus、A. nidulan s由来エラスターゼに最も強い阻害効果を示し、治療薬への応用が期待される結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた動物実験は感染動物を扱う実験施設の都合で遅れているため、ヒト培養細胞を用いる実験系で研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
Aspergillus 属の各菌種が産生するエラスターゼとエラスターゼインヒビター Asfin (AFUEI)との結合性について、酵素阻害実験、および表面プラズモン共鳴により検討する。また培養細胞を用いる実験系により、阻害実験を実施する。
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Causes of Carryover |
購入を予定していた実験動物が、飼育施設の都合で購入できなかったため、次年度に繰り越した。 また研究分担者が予定していた学会出張が他の学会の予定と重なったため、参加できず、旅費が不要となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験動物施設が使用できる場合は動物を購入するが、使用できない場合は代替実験として培養細胞を購入する。
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Research Products
(2 results)